BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

まどほむ 2つのネタ放り込んだ ( No.300 )
日時: 2011/04/29 19:23
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: uHvuoXS8)
プロフ: それでも荒巻なら……荒巻なら何もしないだろう……

 どさっ、と。
 響いた彼女の音を指でなぞると、息絶えた香りがした。まるで星がたくさん咲いた夜空のようだと微笑んでいたあの長い黒髪は、今では血がこびり付いて赤黒く変色している。その黒髪に包まれるようにして目を閉じた貴方の顔は髪の毛よりもっと汚れていた。

「……ほ、むらちゃん」

 大好きな彼女の名前は虚空に消える。次の世界に生きる彼女は、もうこんな終わった世界になんて興味を示さずに新しい鹿目まどかを探しにゆくんだろう。あぁ、何てことだろう。私はまだちょっぴりだけ命の火が灯っているのに。
 ——君は、私が死んだと思って次の世界へ行くんだね。

「わたし、は……わたしは、あなたの——あなたのがんばってるのを、その肩にのった、重い苦しみ、を。いつか、どこかの世界で絶対、はらってあげる、からね」

 ——だから、それまで私は君がどれだけ頑張ってるかってことを知らないまま、君の好きなまどかとして生きていくから。
 血の滲む唇で必死に紡いだ言葉は、少しでも君に届いたのかなんて、私は知らない。ただただ灰色の雨が、冷たさを与えて、私から命を奪っていって。

「だから、ね」


 ■知らないことにしておこうね。


 ばいばいなんて言葉は、君と笑える日まで取っておくよ。
 それまで大切に、私の胸の中にしまっておくから。