BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

兎←虎 ( No.347 )
日時: 2011/06/13 21:38
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: uHvuoXS8)

「なぁバニーちゃん」
「何ですか、おじさん。またどうせくだらないことでしょう」

 悪態をつきながら、でもこっちを向いてくれる彼は本当は優しいんだろう。金色の髪はいつでも綺麗にセットされていて、何となく触れることに躊躇いを感じる。きっと触ったら凄い怒りながら、手を払いのけるんだろうなぁ……みたいな。優しい彼のことだ、もしかしたらされるがままかもしれない。

「何ですか、人の顔見てにやにやして。気持ち悪いですよ」
「うんにゃー……若いって良いねぇ、と」
「そりゃ貴方に比べれば」

 鼻で笑われた。少しイラッ。
 街中の人々の羨望の対象である彼の背中は何となく、頼りがいがありそうで弱そうで。強さと弱さを両方持っている。輪郭とか、体の線が細いからだろうか。

「ねーバニーちゃん」
「だから、何ですか」

 ベッドに転がったまま、苦笑した。
 そうやって怒ってられる辺り、まだまだおじさんの肩は必要ないんだなぁ、と。

「何でもない」
「いい加減怒りますよ」


■不必要アイデンティティ



 もうとっくのとうに怒ってるじゃんか。
 そう揚げ足を取りたいところだったけど、今は大人しくしておこうと、おじさんは思ってみた!