BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

ゆう←かな かなめがね視点 ( No.413 )
日時: 2011/12/28 00:19
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: X9vp/.hV)
プロフ: ごめんね、知ってるんだ全部。それでも君に殺されようか、

 要。薄れた意識の中で、その声だけははっきりと聞こえた。

(目覚めわりィ…………)

 夢の中なのに目覚めだなんて、と苦笑する。いつものように俺は祐希に跨られていた。首を圧迫されているので、上手く声が出せない。当然、息も出来ない。こんな状態の夢を何度も見るなんて、俺は相当なマゾだ。いや、認めたくないけれども。

「かは、っ……っは————ゆ、き……」

 その声に応えようと、口を開く。苦し過ぎてちゃんと名前を告げられない。頑張って呼吸をしようとすると、代わりに喉の奥から掠れた音が出た。微かに酸素を取り戻すと、ぼやけていた視界がじょじょにクリアになっていった。

(……あー、いつもの顔)

 俺の首を絞めているのは、やっぱりというか何というか——祐希だった。いつもはぼんやりとしている表情が、鋭く尖っている。おい、そんな顔で俺を殺そうとするなよ。怒ってやりたいのに体はずっしりと重く、呼吸がしにくい。てか、出来ない。さっきのは奇跡だったんだろうか。

「…………何にも、知らないくせにね」

 ふいに、祐希が呟いた。言葉は俺の耳に届き、鼓膜を揺さぶる。

(知ってるよ)

 ぎゅう。突然、力をこめられて俺は驚いた。指先が喉をとらえ、柔らかなところに静かに沈められた。明確な殺意の灯った両手に絞められ、俺は泣きそうになる。
 なぁ、俺は知ってるんだよ。お前が俺のこと好きってこと。そんで、お前が何か勘違いして、もしかして俺と悠太がどうこうとか考えてるんじゃないかってこと。一番大きなことは——俺が、そんなお前のことが、大好きだってことで。

(ぜんぶ、しってる、ぜんぶ)

 声の出せない俺は「やめてくれ」なんていえないで、じわじわと黒に染まっていく視界に必死に祐希を映そうとする。好きだと弁解して抱きしめてやりたいのに、叶うことはない。
 最後に世界に移ったのは、唇を噛み締めている祐希。

(そんな泣きそうなかおで、おれを、)

 ぶつり。ブラックアウト。





■知ってる。君の想いをちゃんと知ってるから、僕は、




「あ、おはようございます要くん」「おはよーっす要っち!」「おはよ、要」欠伸を噛み殺しながら、元気の良い挨拶をした四人に「おはよう」と返す。悠太の隣にいる祐希をちらりと盗み見ると、祐希も俺と同じように欠伸をしていた。しばらくして、目が合う。

「……はよ、要」
「あぁ、おはよう」

 首元にまだ跡が残っているような気がして、俺は手をやった。