BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

いきぬきぬき ( No.483 )
日時: 2012/08/06 23:16
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: hFu5/zEO)
プロフ: 桃→黒で火→黒で青黒です



「どうしてかなぁ、上手くいかないの」

 桃色の彼女は俺と初めて会った時、遠くでバニラシェイクを飲んでいる相棒の方を見ていた。ひどく遠い目で、とても悲しそうな顔をしていた。笑みを浮かべているのに悲しげな印象を受けるなんて変な話だったけれど、彼女はきっとその笑い方に慣れてしまっていたのだ。
 いくら自分が悲しくても、相手に笑っているということを伝えられる不思議な笑い方に。

「大好きって十分なくらい伝えてきたし、誰よりも彼をサポートしてきたつもりなの。……でも、上手くいかなかったの。結局、彼は好きの一言も伝えられないほど不器用で、自分を突き放して傷つけたあの人を選んじゃったの」

 彼女がそこで言葉を区切ったのは、彼女が言う“あの人”が、相棒に飛びついたからだろう。こうしてみると二人の体格差はだいぶある。浅黒い頬を緩めて相棒に飛びつくアイツは、とても嬉しそうだった。——飛びつかれている相棒も、無表情ながら優しげに笑んでいる。

「馬鹿みたいね私。……初めから分かってたんだよ? これでも。彼が欲しがってるのは私じゃないんだなぁ、って。女であることなんて何の得にもならないってことにも気付いてた————だけど……だけど、駄目ね」

 ピンクの唇は、泣きそうな声色の言葉をぽとりと零した。


「ちょっとぐらい期待しちゃうの。今回は大丈夫じゃないかなって、淡い期待、しちゃうの。私の声が届いてる気になっちゃうの。……駄目だね、やっぱり、駄目だね」


 ——私は、駄目だね。
 最後にそう呟いた後、桃色の雫が零れ落ちたことに——あの青色と水色は気付いただろうか。二人きりの真っ青な水面に垂らされた、この桃色の雫に気付いてくれるのだろうか。
 きっと、気付いたやつは俺以外いない。
 彼女の綺麗な桃色に気付けた奴は、きっと、俺だけしか。




■類似色の僕ら(、僕らは嫌というほど似ていて、だから妙に泣きそうになるんだ)






「……別に、泣いても良いぜ。誰も見てねーんだから」
「泣けないよ。火神君も泣きたいのに、泣けないよ」

 私ばっかりじゃ不公平でしょう?と、彼女は柔らかく笑って、