BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

雪木佐 ( No.502 )
日時: 2012/08/29 22:17
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: hFu5/zEO)






 きれいなきれいな、ほしのおうじさま。
 きっと俺が触れてしまえば、彼の輝きは損なわれてしまう。汚れた俺の指紋が跡を残してしまわぬよう、出来る限り触れないようにしないといけない。彼の輝きは彼を取り巻く世界のもので、俺のような人間がその世界を狭めてしまうのは許されないのだから。

「じゃあ、俺が木佐さんに魔法をかけてあげます」

 青空のように透き通った声は、優しく脳裏に溶けて行く。ぐちゃぐちゃの思考回路はそれだけで正常な反応へと戻ろうと涙を流す。両目から流れていくのは生理的なもので悲しみなんて含まれていない。自分の中に存在する感情を整理できぬまま、嗚咽を零す。
 桜色の唇に俺の指先が導かれた。導かれた指先には唇からほのかな熱が伝わってくる。そうして彼は目を閉じ、キスをするように俺の汚れた指先に魔法をかけた——のだと思う。

「…………ほら、これで魔法がかかりました」

 次に彼が瞬きをした時、俺は視界がきらきらで満ち溢れているかのような錯覚を覚えた。
 きらきら、きらきら。視界いっぱいに光が溢れて、俺の眼前でにこやかに笑う彼の頬にも小さな星は散らばっている。幻想的な世界が、そこにあった。


 ねぇ、おうじさま。きこえていますか、おれのおうじさま。


 星なんて遠いところで輝いていないでよ。お前のきらきらを俺だけのものにしたい、なんて甘えたいんだ。そんなこと言ってみたらお前はまた口元を綻ばせて「勿論です」って幸せそうに笑うんだろうけど、でも、それだけじゃ駄目なんだよ。
 地球からお前を眺めていたくない。俺はまだまだこの地面から足を浮かせることも出来ないけど、いつかきっと、お前の隣できらきら光ってみせるから。
 だから、それまで、どうか。
 俺の隣で、きらきらと。






■MY star boy




(お前の魔法でなら、宇宙まで行けるさ)