BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 黄+桃→←青+黒 ( No.504 )
- 日時: 2012/08/29 23:12
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: hFu5/zEO)
■ウォンチュー、ウォンチュー。
/一つだけ。手に入れられるなら、君がいい。
「もしも黒子っちが二人いたらねー、俺は一緒にお昼寝したいっス!」
大の字に広がり頭だけを私の膝の上に乗せた(俗に言う膝枕だ)きーちゃんは、唐突に話し始めた。熱中症になっちゃったきーちゃんの顔はいつもより赤みが濃い。体育館のクーラーは効き難いし、今日は猛暑日。こんな風になっちゃうのも無理はない。ぱたぱた、ときーちゃんの肌に浮かんだ汗を飛ばすようにうちわを仰ぐ。
「お昼寝かぁ……やっぱり、一人を右に、もう一人のテツ君を左にして川の字で寝る?」
「そうそう、さっすが桃っちわかってるぅ! あんねー、クーラー効いた部屋で、真昼間からだらんだらんになって寝るんスよ。一日中ベッドの上でぐだぐだ過ごすの俺好きだから」
「あー、それ良いね! でもテツ君ってクーラーの冷気に当たりすぎちゃうと、すぐ体調崩しちゃうんだよ? だからちゃんと毛布とあったかいもの用意しとかないとね」
「えええ、そうなんスか!? うぎゅー……どうしよ、桃っち。俺、黒子っちと一緒に寝たいっス、だらだらうだうだしたいっス……」
きーちゃんはとたんに泣きそうな顔になると、困ったように私にアイディアを求めてきた。テツ君とだらだらうだうだしたいのは私も一緒だ。私だったら休みに近くのデパートで買い物で十分に満たされてるけど、モデルをやってるとやっぱり自室でのんびり過ごしたいんだろうなぁ、って推測。
汗ばんだ額に凍ったペットボトルを当てながら、私は「んー」と小さく唸る。
「エアコンの温度を下げる……って言ってもねぇ。テツ君は暑すぎるのも苦手だし……それに生温い部屋でうだうだするのも嫌だよね」
「そうっス。どうしたら良いんだろう、うーん……」
「うーん……」
*
黄瀬が抜けた穴を埋めるようにコートに入ってきたテツが珍しくボールじゃなくコートの外を見つめていたから、俺は「ナイスパス」と言うつもりで背後から抱きついた。「暑苦しいです」とでも言いたげにテツは顔をしかめるかと思ったけれど、その水色の視線はじっと一点に集中したまま揺れることはなかった。
何やってんの、こいつ————同じように視線を辿ってみれば、さつきとさつきに膝枕されている黄瀬が、きゃっきゃと笑いあっているのを見つけた。
…………あぁ、そういうことか。
理解すると同時に、テツが無表情で口を開く。
「青峰君、知っていますか? ……帝光中学には、天使が二人いるということを……」
「……あぁ、知ってる……」
練習でへばっている相棒の両目がやけに爛々としていると思えば、やっぱりあいつらのせいだったらしい。テツはじっとあいつらを見つめたまま静止している。携帯がないのを悔やんでいるようにも見えるのは気のせいか。
「……デジカメ、何ダース買ったら良いんでしょうかね?」
「いや、確かに可愛いけどよ……」
周囲に花を撒き散らしながらにこにこと会話している黄瀬とさつきを横目に、俺は溜め息をついた。
*****
黄桃←青黒の図がね! もう何かね! ね! アドレナリンが、ね!