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きっと君は何も嫌いでいたくなかったんだよ。網膜に焼き付いたあのきらきらした世界も、指先に触れたその感触も、きっと君は嫌いになりたくなかったはずなんだ。好き、だったんだろうね。嫌いじゃない、ではなく、好き、だったんだ。君はあれらが全て大好きで手放したくなかったんだよ。でも気づいた時には遅かったんだろう。君のことを全ては知らないけど、たぶんそうなんだろうなと予測できるさ。だってずっと一緒にいたんだもの。伊達に泣いてる君に振り回されてない。欲しがって、それでも掴め切れなかっただけなんだよね。君は誰よりもそれが欲しかったんだよね。届かないから、誰もくれないから諦めざるを得なかっただけだ。見えない悪意に潰されてしまった君の純粋さも、願いも、夢も。ちゃんと見てたよ。


案外ね、君はコミュニケーションがとりやすいやつだよ。許した相手にはぺらぺら喋ってるのがその証拠だろう？ あんまり自分を卑下すんなよ、私をはたいてる時みたいにぎゃーぎゃー喚いてみなよ。きっとみんな、驚いちゃうよ。



あとね、君は結構しあわせものなんだよ。君はいつも私をへらへらしてるって言うけど、実はかなり考えてんだよ。一緒にいる女の子の言葉に凹まされてばっかの毎日、さ。でも、楽しいことばかりを見るようにしてるから、最近はあんまり凹まない……ことはないけどね。まぁ、うん。頑張ってるよ。
だから、もっと君も楽しんで生きてみなよ。
チュッパチャップス一本だけで、１５分間の世界が変わっちゃうもんなんだからさ。
世界は案外、安上がりだよ。





■チープなぼくらの世界