BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- き→→くろ ( No.576 )
- 日時: 2012/12/29 00:25
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: .XV6mGg/)
- プロフ: 気持ち悪いふわふわした話好きよ
「これでさよならです」
「何ていったの?」
「さようなら」
「ねぇ、聞こえなかったっスよ」
「この箱庭は、きっと僕には広すぎたんです」
「もう一度、ちゃんと言ってよ」
「ここはあまりにも、色がありすぎる」
「ごめんね、俺、聞こえなかったんだ」
「僕が入る余地なんてここにはない。鮮やか過ぎたんだ」
「黒子っち、何で遠くに行くの?」
「……さようなら、僕は君たちの色が大好きでした」
「そっちは門だよ、あぁ、もしかしてお出かけっスか?」
「でも、今の君たちは、嫌なんです」
「嫌って何が? 俺にはよく分かんないや」
「ばらばらな色が、一切統一されることなく、存在しているということが」
「黒子っち、どこに行こうとしてるの」
「僕には耐え切れなかったんですよ」
「せっかく俺の花、綺麗に咲いたのに」
「気にしないでください。君たちが悪いんじゃない、君たちの中に、前のように居場所を見つけられない僕が悪いんだ」
「見て、黒子っち。俺ね、頑張って蕾をつけたんだ」
「……行きたくないけど。行かなきゃ、僕は消えちゃいますから」
「黒子っちに見せたかったから、俺、毎日水やりとか頑張ったんスよ。ほら、こんなに大きくなった!」
「消えたくない、というのも僕の勝手なわがままで、」
「ね? これなら黒子っちの隣にいてもおかしくないっスよね」
「逃げたい、というのは僕の脆弱な不安感からのもので、」
「青峰っちみたいなお花、ちゃんと咲かせられたよね?」
「嫌われたい、というのは今まで甘えていた僕への罰です」
「だから、俺、黒子っちと一緒にいたいっス」
「……さようなら。いつかまた、どこかで会えたら」
「黒子っち。ねえ、だから、そっちは出口っスよ。一体どこに行こうとしてるんスか? ねぇ、何で——」
「また、どこかで会えたら、」
「——何で、そんなふうに泣いてるの?」
「その時は……その時は、どうか。僕のことを、」
■逃亡者として僕を殺して
(ねぇ、だから、そっちは出口なんだよ)