BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

ロス←アル(にわか) ( No.601 )
日時: 2013/02/09 23:23
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: .XV6mGg/)
プロフ: ※グロめだから注意してください火神君





 彼のことが好きだと気付いた瞬間、僕は僕の心臓がすでに動いていないことを悟った。どくどくと音をたててているはずなのに、鼓動が聞こえていなければおかしいはずなのに——それらは全て失われてしまっていた。最初から僕は死んでいたように。生きていたことこと奇跡だと嘲笑うように。
 心臓とは本来、体中に血を送り出すポンプのような役目をしている。そのポンプが壊れてしまったのだ、当然だが体の端からだんだんと自由は効かなくなっていった。爪先に嫌な冷たさが巡ったかと思えば、膝から下がずっしりと重くなって。確かめようと指先を伸ばせば、指先はすでに青く変色してしまっていた。

「……あれ、動けない、や」

 まだ体温の残る赤色が、穴の開いたポンプから流れ落ちていく。静かに滴っていく液体からは匂うはずのあの錆びたにおいがしなかった。僕は血が苦手だから、その事実だけでほっとする。
 体の自由は失われていくが、どうやら僕は死なないようだ。ぼんやりと今の状況を眺めているのがその証拠。心臓に穴が開いているというのに、何でだろう。疑問は多すぎるぐらいだけど、今が大丈夫なら大丈夫。そう結論付け、ぐっしょりと濡れた胸元にまだ動かせる右手で触れた。

「うわ、真っ赤じゃん」

 どろりと溢れてきた血に自分でもどん引いた。いや、だってこれ鼻血とかどういうレベルじゃないし。完全にやばい感じのじゃん——背筋がぞわりとした。それでも僕は死んでないんだから、不思議なものだ。
 
「……そっか、死んで、ないのか」

 死なないとおかしいほどの傷を負っているのに、死んでいないなんて。それはなんて滑稽な話なんだろう。悲しもうとしても悲しめないじゃないか、こんなの。
 直接触れたことでより傷が開いたようで、赤色が深まってしまった。どれだけ赤くなるのか、このまま見ていたい気持ちになった。……ううん、それは違う。僕は、自分の体からどれだけ血が流れるのかが知りたくなったのだ。

(そうだ、もっと血が流れてしまえばいいんだ)

 既に機能を停止した、赤黒い塊の中にぽっかりと浮かぶ空洞。衝動的にその空洞に人差し指をねじ込んだ。触れたら痛いんじゃないかとばかり思っていたから、痛覚が無いことを確認して拍子抜けした。しかし指を差し込まれると心臓はより血を吐き出したので、好都合とばかりに中指も押し込む。
 びちゃびちゃ、びちゃ。ホースで思い切り水を撒き散らしたみたいに、鮮血が足元に叩きつけられる。だけど僕は死なない。死なない。死なない。痛みすら感じない。痛くない。死なない。

(死ねよ。早く、死んでしまえ)

 願いをこめ、今度は親指を肉の壁に突き刺した。まだ無事だったはずの部位から勢いよく血が吹き出る。新たな赤色を視界に入れた瞬間、僕は頬に笑みが浮かぶのを感じた。
 そう。そうして、体中から血が全て流れてしまえばいい。
 彼がいない世界なんて、立ち止まるにも値しないのだから。
 






■食い破られた心臓



(貴方が好きだと自覚したときから、私の心臓は貴方という存在に食い破られて、ずっとこの場所に縫いとめられているのよ。死ぬに死ねなくなってしまったこの私を、どうか見捨てないで、優しく死なせて)











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ごめんほんと戦勇にわかなんです
よくわかんないけど、ロス君は1章の途中でいなくなっちゃうらしかったから、置いていかれちゃった(?)アルバ君はどうしてるのかなって思って(´ー`)その結果がこれだよオゥフオゥフ

ロス君のことが好きだって理解した時には、すでにロス君は自分の前にいなかった。でもあのルキちゃんとロス君と旅した楽しい時間から自分はまだ抜け出せなくて、ずっとあの頃の自分を殺せないままで……っていうちょっと病んでるアルバさんだけどごめんやっぱこれ違う