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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 美猿sss ( No.619 )
- 日時: 2013/03/22 12:04
- 名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: QGJGVn1c)
■ずっとここにいよう
美咲の手はあたたかい。重ねられた隙間にはぴったりと熱が張り付いていて、子ども体温ってこういうこと言うんじゃねーの、なんて密やかに笑う。絆創膏がべたべたと張ってあるから少しむず痒いけど、そんなに気にするほどじゃない。くすぐってぇ、と絆創膏の柔らかいところをかりかりと爪先でかいた。
左耳につけたイヤホンから流れ出てくる音楽は、ぽかぽかとした夕暮れの教室に似つかわしくない、激しいロック調の曲だ。世界を壊せ、俺たちで変えるんだ、とボーカルが叫んでいる。ベースの低い音は女の子宮に響く、って話をきいたことがあるけど、それは本当なんだろうか。だから今俺の心はこんなにもきゅうきゅうと締め付けられているのだろうか。いや、その前に俺は女じゃなかったっけ。脳内で繰り広げられる一人問答は、隣の美咲に伝わることはない。その事実にほっと安堵しながら、垂れているイヤホンコードを指に絡める。美咲が肩をぐい、と俺の方へと押してきた。コードをつついていると、美咲の方のイヤホンが取れそうになるらしい。そこまで気付かなかった。諦めてコードから指を遠ざける。
——世界を、俺たちの手で、変えるんだ。
俺の耳元で、ボーカルがまたその言葉を吐き出す。繰り返し使われたフレーズは、本当に世界を変えたいと望む俺たちにとっては陳腐すぎて、何だか笑ってしまった。
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何でもないような美猿ちゃんはいとかわいいいとかわいい
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