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Re: 【色々】 トロイメライの墜落 【短編】 ( No.668 )
日時: 2013/05/20 03:28
名前: ささめ ◆rOs2KSq2QU (ID: eNPK8IuO)
プロフ: 何だよこれェ!!(床ドン)

「何もいらなかったよ」と赤司征十郎は笑う。「俺はずっと欲しかったから」と高尾和成は笑う。
「俺にはお前達がいればそれでよかった。前になんて進む必要などなかった」と赤司征十郎は小さくぼやく。「俺はお前と二人で歩いていきたいよ」と高尾和成は小さくぼやく。
「何で俺を置いていったんだ、緑間」と赤司征十郎は俺を責める。「何でお前は一人で行こうとすんだよ、真ちゃん」と高尾和成は俺を責める。
「……俺は、お前しか頼れなかったのに」と赤司征十郎はわずかに泣きそうな顔をして言う。「……俺は、お前に頼って欲しいのに」と高尾和成はわずかに泣きそうな顔をして言う。
「どうしてそうして変わってしまうんだ」と赤司征十郎はひどく冷めた表情をする。「どうしてそうして変わろうとしないんだ」と高尾和成はひどく冷めた表情をする。
「お前は変わってしまった」と赤司征十郎は黄色い瞳をきゅるりと動かす。「お前は全く変わらない」と高尾和成は灰色の瞳をきゅるりと動かす。
「俺と共に行ってくれるんじゃなかったのか」と赤司征十郎は唇を噛み締める。「俺と一緒に行ってくれるんじゃなかったのか」と高尾和成は唇を噛み締める。
「裏切られた気分だよ」と赤司征十郎は俺を憎憎しげに睨む。「裏切られた気分だ」と高尾和成は俺を憎憎しげに睨む。
「そうして一生誰かを裏切っていろ」と赤司征十郎は俺に背を向けた。「そうして一生誰かに縛られていろ」と高尾和成は俺に背を向けた。






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(…………ああ、違うのです、神様)

 ひとりきりになってしまった、カムパネルラの空を仰いで、俺はすぅと息を吸い込む。深い藍色に染まった空はどこまでも高くて、永遠を俺に指し示している。再び誰かの加害者へと成り下がってしまった俺は頬を伝う涙を拭うことも億劫で、ただ口先ばかりの祈りを神へと捧げる。


(俺はけして、選ばなかった訳ではないのです)












■選ばない選択/加害者と被害者二人








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選べ選べって言わないでくださいよ
あんたが信用出来ないから選べもしないんだよ