BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.2 )
日時: 2010/07/22 15:16
名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)

2話 電話



ちょうど4時をまわった頃に電話が鳴った。

(あぁ。まただ。)

そう思ったが電話に出た。

「もしもし。五十嵐ですが。」

その人の声は低く、ハスキーだった。

『あっ。五十嵐か?良かった。お前に聞きたいことがあって。今度席替えがあるんだがお前どこの席がいいか?希望が無いなら良いんだが。』

声の主は担任で理科担当だ。俺はこの人の顔はあまり見たことが無い。
こうやって毎日電話で今日の出来事なんかを話してくる。

(相変わらずいつもマメな人だな。来ないって分かってるのに毎日電話してきて・・・。)

「希望・・・?ですか?無いですよ。」

『そうか。なら良いんだ。そうだ。話は変わるが今度の合唱コンクールの事なんだが。』

「・・・はあ・・・。」

『お前はどんな曲を歌いたいんだ?』

「歌・・・ですか?」

『あぁ。』

「希望なんてないっすよ。」

『そうか。じゃあ指揮とかの希望は無いのか?』

「ないです。」

『そうか。・・・そうだ!五十嵐。明日は理科の実験で人力発電をするんだが明日来ないか?お前は理科が好きだろう。』

「理科好きだけど行かないです。」

『・・・そうか・・・。』

(いったいこの人は何回電話をしてくればいいんだ・・・)

『五十嵐は今何をやっていたんだ?』

「何って・・・なんもやってないっすけど。」

『そうか・・・。そういえば今日お前の兄さんが給食あまってないかっていろんなクラスをまわってたぞ。今日は揚げパンだったからな。』

「・・・(兄さん・・・)」

『そうだ五十嵐。今度2学期から新しい部活を作ろうかと思って。お前の好きな理科の部活でも。』

「・・・」

『ほら、前からあるちんけな科学部よりもすごい事する部活でも作ろうかと思ってだな。お前、部長やらないか?お前はそういうことが好きだろう?』

確かに実験やリーダーとか好きだけど・・・

『今決めなくてもいいんだぞ。決めたら言ってくれ。』

「・・・」

『あぁっ!大事な事を忘れてた。今日今度の中間試験の範囲表が配られたからお前の兄さんに渡しておいたぞ。』

「・・・そうですか・・・」

『じゃあまた明日な。』

「・・・」

『プツッ・・・プーッ。プーッ。』

電話が切られた。
受話器を元の場所に戻す。

ガチャンッ

「毎日電話してどうするんだ・・・。懲りない人だ。また明日って・・・。」

そう一人でつぶやいた。