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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.3 )
- 日時: 2010/07/22 15:21
- 名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)
3話 帰宅
リビングの時計は7時をまわった。
まだ誰も帰ってこない。
いつもだったら兄さんは部活を終えてもう帰ってくる頃だ。
兄さんはバスケ部にはいっている。
帰ってくると汗臭い練習着を洗濯機に放り込んでシャワーを浴びに行く。
その後キッチンに向かって夕飯を作ってくれる。
いつも部活で疲れているはずなのに疲れた様子は見せない。
と、言うかずっと笑顔で居てくれる。
そういう所が逆にイライラする。けれど反面そんな所が羨ましい。
俺はそんなに強くないから・・・
そんな兄さんがものすごく羨ましくって・・・
・・・
けれどいくら俺が兄さんを羨ましがったって俺は兄さんのようにはなれない。
分かってるよ。そんなことくらい。
けれど俺にとっては本当にそんな兄さんが羨ましいんだ。
俺がこんなじゃなきゃ良かったのに。
そんな事を思うとだんだん切なくなってくる。
そんな気持ちを紛らわせようと思ってテレビをつける。頭のてっぺんがハゲかかった白髪のおじさんが何かを解説している。
そんな番組になんて興味は無かったけれどボーッとその番組を見る。
数分するといきなり大きな音を立てて玄関のドアが開いた。
ドスッと何か重いものを置いたような音がした。
きっと兄さんのバッグを置いた音だと思った。
けれどその後の兄さんの足音はいつもとは違った。
洗濯機の前には行かずに投げやりな足音がこっちへ向かってくる。
「兄さっ・・・!?」
俺はその兄さんの姿を見て戸惑った。
まず「大丈夫?」と、言った。
兄さんは何も言わずに救急箱を棚の上から取ってくる。
俺はどうすればいいのか分からない。
「・・・あ・・・う・・・。」
俺は何も言えずにただ意味の無い音を発音する。
初めてだった。こんなにたくさんの血を見たのは。
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