BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 俺の兄さん(原作なし。修正版。) ( No.4 )
日時: 2010/07/22 15:20
名前: シンジ (ID: 5oJbC9FU)

4話 理由なんてね



「兄さん・・・?どうしたの?」

やっとその言葉が出てきた。
けれど沈黙。

数秒してから兄さんが口を開いた。

「・・・別に何でも・・・ない・・・」

それを見て何でも無いだなんて誰が思えるだろう。
なんかいろんな所から血が出てる・・・
何でそれで動いてられるんだろう。

そう思った。

「・・・病い——」
俺が何かを言いかけた時、兄さんは言った。

「ごめん。今日は夕飯が遅くなっちゃうね。」

兄さんは血だらけの顔で笑って見せた。
俺にとってはそれが怖い。

「・・・そんな・・・そんな事なんてっ・・・そんな事なんて気にしなくていいのにっ!・・・なのに、なのに、なのに兄さんはっ・・・兄さんはっ・・・」

どうして笑ってられるんだろう。

俺のことなんて気にしないでよ。もう・・・
そんなになってまで兄さんは何なんだよ・・・
それにどうしてそんな怪我してるんだよっ!
言葉にならない叫びが頭の中でぐるぐるする。
あっちではね返ってはこっちではね返る。

どうしてそんな怪我・・・

「兄さん・・・」

訳が分からないのに、訳が分からないけど涙が出てくる。
無力な自分を見てなのかもしれないし、兄さんが痛々しいからなのかもしれないけれど、胸がいっぱいになってくる。
そんな感情に溺れていたら急に心臓をつかまれたような痛みというか苦しみに襲われる。

「・・・うっ・・・ぐっ・・・」

声が出せない。

そのままその場に倒れこむ。
それに気づいたのか兄さんはどこかからビンを持ってきてその中から白い薬を取り出して俺の口の中に無理やり押し込む。

「零夜っ!早く飲み込んでっ!」

そういった兄さんは俺の口を塞いだ。

・・・やっとの思いでそれを飲み込んだ俺は少しの間意識が朦朧としていた。

意識がハッキリしてくるとさっき何が起こったのか理解しようとする。

あぁ。そうだ。俺は心臓が弱いんだ。

そう。俺は心臓が弱い。
と、言うか生まれつき体があまり丈夫ではない。
心臓にストレスとかとにかく負担がかかるとさっきみたいに発作が起こる。

そこまで理解して体を起き上がらせると兄さんが居ない事に気づく。

どこへ行ったんだろう。
そう思った。

しばらく放心した後に自分の服にしみっぽいのがあることに気づく。
黒いシャツだから分かりにくいが確かにそれがある。
そして何かを悟って顔を手の甲でなびると赤くなっていた。

(血だ・・・)

そこで俺は兄さんが病院へ行ったことを願った。