BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: *一年ノ僕ラノ物語*【BL】 ( No.260 )
日時: 2010/12/22 17:48
名前: つんさど ◆GAcxLZeYnw (ID: iGvI5nur)

第37話

安田は今日、髪をしっかりセットしていて(寝癖を直していて)、いつも以上に可愛い。
そんな安田を、本番前の目の保養にしていたとき。

「安田ー」
「ん。なに、高ちゃん」

響に呼ばれ、安田は、さっきまで俺に向けていた視線を響へと移す。
安田・・・出来ればもう少しだけギリギリまで俺に顔見えるよう粘って・・・無理か。
そんなアホなこと考えてるうちに、響がここまで来た。

くそっ。保養タイム終了か。

「先生がキーボード持って来いって。」
「もう練習始めんの?」

安田と響が話している。
心なしか、どちらも柔らかな表情で。


「じゃあ中原。俺ちょっと行ってくる」
「ん。行ってらっしゃいw」

とりあえず微笑して、手を振って見送った。が、内心は笑えるような状況じゃなかった。


安田と響は、一緒に居るときの雰囲気が他と違う。
なんていうか、その辺に落ちてるバカみたいな、あんなのとはかけ離れた・・・
そうだな。あえて言うなら、月のような感じかな。
2人でいつも、静かに笑っている。

俺から見ても、本当に綺麗だ。



・・・安田は、響が好きなんだろうか。
とか自分で思って、そして自分で悲しくなる。
なんだか俺、バカみたいだな。
剣とケンカしたからってだけで急に安田のこと好きになっちゃって。
これじゃあ、ただ自分を苦しめてるだけじゃんか。
安田に負担をかけてるだけじゃんか。

それでも、この気持ちを簡単に変えられないから困る。

なんで安田は俺のこと好きじゃないんだろう。
なんで俺の好きな人が安田なんだろう。
なんであのとき剣とケンカしちゃったんだろう。


頭の中で自分を責める言葉がとぐろを巻いていたとき、安田が帰ってきた。

「ただいまー」

いつもの、優しい顔をして。


「おかえり」

今の心情、そして安田への気遣いを込めて、俺は安田に向かって笑いかけた。
自分の気持ちに戸惑いを感じながら。





____雨の音が、美しく響く午前9時の話。