BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: *一年ノ僕ラノ物語*【BL】 ( No.438 )
日時: 2011/07/13 21:00
名前: つんさど ◆GAcxLZeYnw (ID: KgobaFNd)
プロフ: 中白(中村せんせー×白井)を作者自らが押します←



第61話

スキー講習 特進班もまた、講師の自己紹介を受けるなどといったコミュニケーションをとっていた。


「特進班の講習を担当する中村です。呼び方は適当でいいですよ」


落ち着いた雰囲気の、中村と名乗る講師がそう言った。
普通なら よろしくお願いします と、生徒達が言う場面だ。
だが、どうしても生徒達にはこの学年の“中村”を連想させてしまうのだった。

   「中村だって」
   「そーいや良太まだ来てないんだよなー」
   「中村かあ」

特進班のメンバーは、口々に“中村良太”のことを小声で喋りだした。
それにより特進班の雰囲気は少し暗いものと変わってしまった。

ずっと口を閉じていた白井は、

「よろしくお願いします」

と、一つ言い頭を軽く下げた。
講習班のメンバーは、講師も含め皆白井につられて頭を下げた。


           *

「白井・・・くん、は、しっかりしてる子なんだね」

「——は?」

特進班のみが滑ることを許された走路を滑走している白井の横に、中村がやってきた。
と、思うと白井に何の前触れもなくそう言った。

「さっき、誰一人挨拶しなかったとき。白井くんだけちゃんとしてくれたからね。嬉しかったよ」
「・・・ああ。別にしっかりしてはないっす」
「そう?じゃあ最近の中学生は皆こんななのかな。凄いね」
「はあ・・・。」

「俺と似た人でも知ってるの?」
「え・・・ああ。まあ。・・・俺といつも一緒に学校来てた奴が中村っていって・・・。」
「そっか、だからか。って、過去形?」
「・・・不登校なんです。」
「そう・・・白井くん、寂しいんだね。今は一人で学校行ってるの?」
「・・・はい。」


           *

中村と白井はその後、もう少し喋ってから離れ。
中村は他の人の付き添い、白井は生上と共にリフトに乗りまた上へと上っていった。


白井にとって【中村さん】は、【良太】と似た人物だという第一印象を与えた。

目を細めて優しく笑うところとか。
なぜか凄く安心する声音とか。
無口そうな外見に反し、意外とお喋りなところとか。
それだけど自分の話は聞いてくれるところとか。



“中村”という人物の出現だけで、白井を悩ませることになると誰が予想しただろうか。