BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙」 ( No.102 )
- 日時: 2010/08/25 14:33
- 名前: 月女神 (ID: lYvryTmy)
織田決戦編 第9話
えーん、えーん……。
「お兄ちゃん、お父さん、どこぉ〜?」
夕焼けの中に、泣く男の子が1人。赤い髪の毛が夕日に照らされて綺麗に輝いている。
どうやら、迷子になってしまったらしい。
名前を叫びながら泣いていると、古い神社にたどり着いた。
「じんじゃ?」
「誰だお前。見知らぬ顔だな」
男の子の前に現れたのは、綺麗な銀髪の少年だった。
頭には三角の耳を生やしている。
「だれぇ?」
「俺はここの神様だっ! あんた、名前は?」
自らを神と名乗った少年は男の子に訊く。
男の子は小さくだが、はっきりと告げた。
「かなた……」
「かなた、か。良い名だな、お前。で、何で泣いてるの?」
「お兄ちゃんとお父さんとはぐれたの」
また泣きだしそうになる男の子を止める少年。
「おいおい、泣くなよ」
「泣いてなんか、ない。泣いてないもん」
「ハイハイ、泣いてない泣いてない」
一生懸命慰める少年。まるでお母さんみたいだ。
少年は、にっこりと笑って言った。
「お前は、人であって人でない。忍者であって忍者でない。その身に闇を司り、操り、手足とする化け物だ。
だけど、そんな奴でも守りたいものがある。
でも、今はその時じゃない。お前が、そうだなぁ……10年ぐらいしたら現れるかもな」
「そんなに待つの?」
少年は男の子の頭を掻きまわす。
「大丈夫だ。お前は強い、やれば出来る。だから、今は待て。
そして、お前の中に眠る『お前』を解放する呪文を教えてやろう」
*****
覚えてる。あの言葉。
自分の中にある、自分を呼び醒ます詞。
「我、汝の力を解放す。我の手足よ、力よ、悪を喰らえ、大きく育て」
スゥ、と闇が俺様を包む。
人であって、人でない。俺様は、化け物。
闇を操る、悪魔だ。
「闇空疾風、猿影彼方。いざ忍び参らん!」
俺様は化け物。故に、忌み嫌われる存在。
こんな俺様でも、あんたはまだ愛してくれますか? 好きだと言えますか?
言えないならば、離れて行って。俺様は1人で生きていけるから。
「織田信長ぁぁぁ! 貴様の邪心、全て俺様が喰らう! 覚悟!」
「フン、小僧如きが何をほざく!」
織田信長は、刀を。俺様は忍者刀を構えた。
これが、最後。一騎討ちだ。
死んだらゴメン。
「「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!」」
ザンッ……!!!!!
「ふふ、これが貴様の力か……。是非もなし」
ドサッ…。
決着はついた。俺様の勝ち。
あ、れ? 俺様も視界が……。
回転する視界。力が入らない。上手く立てない。
「彼方!」
ドサッッ
「うげぇっ……」
「え、えぇ?! 佐助?!」
俺様の下敷きになってくれた佐助。あー、止めて。死んじゃうから。
佐助は笑った。綺麗に、俺様に向けて笑ってくれた。
「良く頑張ったね」
そう言って、佐助の温かい手が俺様の頬をなでる。
自然と涙が伝う。
「あったかい。お袋みたいだ」
「まぁ、伊達にオカンって呼ばれてないけどね」
あははは、そうか。佐助=オカンだった(待て)
俺様は佐助に抱きついていた。
「ありがと。佐助」
帰ろう。
自分の家へ。
皆で、帰ろうよ。