BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙」 ( No.66 )
日時: 2011/02/17 21:47
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

思い交差編 第7話

絶対安静だから甲斐には帰れないし。で、そのまま一週間過ぎたー。

【バイバイ】

この前佐助に言った別れの言葉。
今更後悔しても遅い。俺様は後ろを振り向かないんだ!
佐助だって、情けで俺様の所に心配しに来たんだと思うし。俺様が一方的に好きでいても、迷惑だと思うし。
だから、バイバイ。

「まぁ、動くようになったし。怪我も治ったし。出るか」

しばらくは野宿かな。
俺様は包帯を取り、別れも告げずに去った。

ありがとう、さよなら。


*****

とは言ったものの、どこに行けば良い?
慶次の所? 遠いよ。何日かかると思ってるんだ。
じゃぁ、奥州…。絶対甲斐に行かされる。だったら、もう北条の所に…。


「見つけた」


え、何? 見つけた?
ちなみに、今俺様は木の上にいます。ここで寝ようと思ったからです☆
まぁ、それは置いといて。何で、聞き覚えのある声が聞こえたのかな……っと。

「彼方」

佐助がいた。
俺様は少し、考えて出した答えは。


「さよなら!」


逃げた。
上杉の所から出るんじゃなかった! 今は夜だし、戻っても何も言われないさ!

何で来たんだ、何で現れた。
言ったじゃない。バイバイって。別れを告げたじゃない。
甲斐に帰れないって言ったよね? もう一生帰らないくても良いかも。

「待てよ、彼方!」

佐助が叫ぶのが聞こえる。
何を期待しているんだ、俺様は。バイバイって言っただろう? 後悔するな。前だけを見ろ。

「何で離れていくんだよ!」
「言ったじゃねぇか! さようならって、言ったじゃねぇか!」

俺様は叫んだ。
もう涙が止まらない。後悔の涙だ。

「俺様は、あんたに別れを告げたの。何で来るのさ。何で俺様の前に姿を現したの?!」
「それはっ……」


「俺は、あんたの為に甲斐を離れたのに!」


言った。言ってしまった。
これは本当の事だ。理由だ。
遠まわしに佐助が好きだ、と伝えていた。

「なのに、何で来るんだよ。もう決めたんだ。戻らないって、帰らないって。なのに、何故?!」

もう止まらない。止められない。
涙も、気持ちも、全てにブレーキが利かない。
あぁ、良いさ。こんなカッコ悪い俺様を好きになってくれる奴がどこにいる?

「それが、本音?」

佐助の優しい声が聞こえた。

「そうだよ」

俺様は投げやりに答えた。
その時だった。


「?!」


佐助の顔がやけに近かった。
体がしまってる。
それが、抱きしめられていると気付くのに何秒かかったか。

「痛っ……」

何故、こんな事をする? 何で、するんだよ。
余計な期待をするじゃん。

「何、すんだよ」

やっと放してもらい、俺様は佐助を睨みつける。
佐助は笑いながら言った。


「俺の気持ちだよ」


どういう意味? 嫌いなのか?
あぁ、そうですか。
でも違った。

「彼方が、好きだから」

ずっと、言ってほしかった言葉。
嘘だろ? 俺様の思い違い?

「やっと言えた。あんたが好きだって」
「良いの? こんなにカッコ悪い俺様でも」

「どんなになろうが、俺の気持ちは変わらないけど?」

涙が出そうだ。
嬉しい。


「佐助ぇ……」

「ハイハイ、泣かない泣かない」


*****

甲斐

「……あ、彼方殿?! と、佐助?!」
「かーなーたーぁぁぁぁぁ!!」
「どわっ! ゴメンね、旦那。出てっちゃって」

旦那のタックルはきつい。鳩尾にヒット。
あぁ、懐かしい。この感覚。
旦那がいて。
幸村の旦那が笑ってて。
紅羽ちゃんがいて。
そして、
佐助がいる。


「ただいま」


「おかえり」