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Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙」 ( No.88 )
日時: 2010/08/22 18:18
名前: 月女神 (ID: EV6MzidG)

織田決戦編 第1話 【政宗視点】

「彼方…? 彼方、どこへ行った?」

廊下には誰もいない。彼方がいた痕跡すらも見当たらない。
もう太陽が上がりきった頃だ。きっと、9時ぐらいだろう。

「くそ、彼方ぁぁ!」
「何してるの独眼竜の旦那!」
「真田の忍び…」

何だっけ、猿で良いか。

「彼方は?」
「連れて行かれた。まさか、零が……謀反を犯すなんて」

俺のせいだ。
奥州筆頭なら、彼方も守れたはずだ。何故守れなかった?
くそ、くそぉ! 凜音の事と言い、彼方と言い!

「俺のせいだ…」
「何もあんたのせいだとは言っていない」
「違う!」

いきなり叫んだから、びっくりしたのだろう。

「奥州の筆頭である俺が、こんなだから…凜音も彼方も巻き込まれた。そうだろう?!」

止められない。
巻きこんでしまった。大切な人を。仲間を。
らしくない。らしくねぇが、止められないんだ!


「らしくない事、言ってるじゃん」


そんな俺の前に姿を現した、凜音。
こいつ、怪我をしていたんじゃないのか? 平気そうな顔をしている。

「らしくねぇって言ってるんだよ。独眼竜」
「うるせぇ、寝てろ」
「嫌だね」

反抗期か?
ならば上等、意地でも寝させてやる。

「残念だけど、寝ろって言っても無駄だよ」
「Ah? 何を言っていやがる、小太郎」

凜音の後ろから小太郎が現れた。
ハァ? 何を言っていやがるこいつ。

「凜音は少し特殊な体質なんだ。どんな瀕死の重傷を負おうが、1日経ったらリセットしちまう能力がある」
「おう、だからどんなに怪我をしようが平気だっ!」

何だこいつ。じゃぁ、あの怪我も治ったって訳か?
凜音が傷を見せる。
見事になくなっていた。きれいさっぱり。

「彼方を助けに行くんだろう?」

そうしたいのは山々だ。
だが、助けられるかどうかの心配だ。
これで、あの幸音って奴に怪我を負われちゃぁ面目が立たない。

「大丈夫だ。何も負け戦をにし行く訳じゃない。皆、織田をぶっ潰す覚悟は出来ている」

凜音が笑うのが見えた。


「Patryの始まりだ」


あぁ、そうだな。
今は戦国。傷つく者がいれば、死ぬ者もいる。
だけど、仲間がいるんだ。

「OK。Are you ready guys?」

「「yeah!!!!」」


*****

「ほう、これがあの…?」
「上総介様、どうか注意をしてください」
「余を誰だと心得る? 魔王が簡単に死ぬ訳無かろう」

闇に映る、魔王の姿。怪しくゆらゆらと揺れている炎。
地下牢の一室。そこには、傷ついた赤毛の少年。一筋の傷が頬を走る。
手首を壁に在る鎖に繋がれていて、足には重い鉄球がぶら下がっていた。

「猿影彼方」