BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙」 ( No.93 )
- 日時: 2010/08/23 19:32
- 名前: 月女神 (ID: 2IzplCUb)
織田決戦編 第4話
暗い空。夜空。星の空。
月は三日月。消えかかりそうな、そんな儚い形。
チャプ、と音がして水に波紋が生まれた。
—— あぁ、またこの夢か。
最近見なくなったのに。
嫌な夢だ。どこかで見た事がある景色。だけど、闇に飲まれていて見えない。
酷く息苦しい。声が出ない。
水に浮くは、人の死体だけ。
それは誰の死体? 紅、蒼、紫、黄色、緑、銀、そして、迷彩。
「さ、す、け、、、、」
嫌な夢だ。
*****【佐助視点】
「あなた達は、彼方君を、助けに来てくれた人?」
何を言っているんだ? それは当たり前だ。
彼方を助けに来たに決まってるだろう。
「そうでござる! お市殿、何用で? もしや、某と戦うでござるか?」
幸音君、モップを構えながら叫ばないでください。うるさいです。
でも、そんな事を思っても聞いてくれるはずもなく。
「そう…。彼方君は、地下室にいるわ。早く助けに行って? 怪我をしているの」
「どうして、そんな情報を渡す?」
俺は訊いてみた。
信じられないからだ。たとえ、その情報が本当だったとしても、魔王の妹に従えと言うのか?
「彼方君は、市を、助けてくれた」
助けた……?
「彼方君は、市を、慰めてくれた。長政様がいなくなって泣いてた時に、大丈夫って言ってくれた」
そうか、浅井は殺されたんだ。
だから、彼方を助けるための情報を……?
その時だった。
ドカンッッ!
地下牢が爆発した。
まずい、あっちの方向に彼方がいるのだろう。
魔王の妹が、強張った顔をしたからだ。
「彼方君っ……」
「本当だな? 本当にいるんだな?!」
凜音が魔王の妹に向かって叫ぶ。
静かにうなずいたのが見えた。
早く行こう。彼方が死ぬ前に。
「彼方ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
*****
炎が辺りを包んでいる。
あぁ、もうすぐ死ぬんだ。
悔いはないよ。BASARAの世界で死ねるんだもん。
でも、どうしてだ?
涙が止まらない。死にたくない。
矛盾している? そうだ、矛盾している。
悔いならば、最後に皆の元で、あいつの隣で、腕の中で眠りに就きたかった。
「今何してるの、何したいの、俺はここだ……」
歌が炎を通り過ぎて、あいつの元に届くように。
「メッセージ伝えるよ、愛してる……」
最後を変えて、歌う。
「来世で、会おうね……」