BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙」 ( No.96 )
日時: 2010/08/24 10:47
名前: 月女神 (ID: pk2OclHY)

織田決戦編 第5話

白く霞んだ世界。何も見えない、ただ白いだけの世界。
そこに、俺様はいた。
分からない。けど、歩く。歩く。ただ、ひたすらに。
その向こうに、何があるのか分からないけど。


*****【佐助視点】

くそ、炎が邪魔して見えないっ……!
彼方、無事でいてくれ……!

「どけっ! 炎を30秒だけ消してやる。全速力で彼方を助けに行け!」

元喜? 一体、何を……?
すると、その子、ヨーヨーを構えたんですけど。

「スプリンクラー!!!!!!!」

ヨーヨーから水が出て、炎を消化する。
助かった。これで、行ける。

「早く行け! 無駄にするでない!」
「助かった。恩にきる!」

これで、助けられると良いんだけど。
その時だった。


「………♪」


歌? 誰かが、歌っている?
歌詞が良く聞き取れない。何を歌っているんだ?

「メッセージ伝えるよ、愛してる……」

彼方?

「来世で、会おうね……」

嘘だろ。彼方? 彼方が歌っているのか?
来世で会おうなんて、そんな悲しい事言うな。
一緒に帰るんだ。甲斐でまた皆と笑って暮らそうよ。死のうとしないでよ。


炎の向こう、地下牢の一室に彼方はいた。
ピクリとも動かず、ただそこにじっと座っているだけ。手足を縛られて、動けない状態だ。

「彼方、彼方。助けに来た!」

声をかけてみても、反応なし。ヤバイ状態だ。
凜音が細い針みたいなので、地下牢の扉を開ける。
そして、独眼竜の旦那が刀で彼方を解放する。

「彼方、しっかりしろ!」

揺らす。だが、


彼方は、力なく、俺様の腕の中で崩れた。


まるで、死んでいるようだ。

「嘘だろ、おい……」
「どうした! 彼方は、彼方は無事なんだろうな?」

幸音君、ゴメンね。
俺様、彼方を救えなかった。


*****

地下牢から出て、彼方を横たわらせる。
瞳を開けてくれない。どうして、どうしてだよ。
殺すなら、俺を殺せば良いじゃないか。何故、俺の大切な人ばかりを奪っていくの?

「彼方、彼方! 目を開けろ、彼方!」
「そうだ。おい、猿。目を開けろ。いつもみたく、笑いながら名前を呼んでくれよ」
「彼方、お願いだから……」
「彼方君…! お願いだよ、目を開けて。ゆっきーを泣かせて、承知しないんだから!」
「おい頼むよ。言ってくれよ、いつもみたいにツッコんでくれよ!」
「彼方、我を残して死ぬでない。貴様を助けるためにここまで来たのだ。ここでくたばるな!」

でも、彼方は目を開けなかった。
すると、声がした。


「ふふふ、彼方君死んじゃいましたねぇ」


白髪、そして手に持った鎌。

「明智、光秀……!」

明智だ。まさか、こいつが…?

「許せない…。彼方を殺した罪は重いぞ!」
「Ha! ここで殺してもまだ足りない。地獄の苦しみを味あわせてやる!」
「灰にしてやる。覚悟しろ」
「絶対に許さないんだから! 炎に焼かれて死ねばいいのよ!」
「こりゃぁ、結構つくぜ? 恨み、晴らさせろ!」
「日輪に焼かれてくたばれ」

全員で明智に取り掛かるつもりかよ。
無理に決まってるよ、このままじゃぁ、皆死んじまう。

止めてくれ…。

彼方、守れなくてゴメン。
俺も、すぐにそっちに行くから。


*****

誰かが、俺様の事を呼んだ?
気のせいか、そんなはずはない。だって、ここには俺様だけなのだから。

「猿影彼方よ…」

誰だ、俺様の名前を呼ぶのは。

「貴様、これで良いのか?」

もう死んだんだ。後戻りは出来ない。

「貴様、あいつらを残したままで良いのか?」

良くないよ。

「ならば、貴様のうちに秘めた闇の力……、見せてみろ」


ドクンッ……。