BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.101 )
日時: 2010/11/07 20:09
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

銀猫編 第3話【視点無し】

闇夜でぼそぼそと話す声。
ゆらゆらと揺らぐ、蝋燭の灯。
照らされるは、赤と銀。

「甲斐、武田軍が最近力をつけているみたいだ。君の天下統一に邪魔をするようだね」

照らされていた銀、竹中半兵衛はまるで甲斐が邪魔だと言っているようだった。
対する赤、豊臣秀吉は半兵衛の考えに耳を傾け、口を開く。

「何が言いたい? 半兵衛よ」
「要するに、君の為に潰すのをお勧めするよ」

そうか、と秀吉はうなずくと月夜を見上げた。
満月が雲に隠れ、月明かりを閉ざす。そのとたん、蝋燭の灯が消えた。
部屋に何者かが侵入してくる。
秀吉の首筋に、冷たい何かが当たった。
条件反射で秀吉は動き、拳を振るった。ごすっと鈍い音がして、その者は吹っ飛ぶ。
刹那、月明かりが部屋に差しこみ侵入者を照らす。が、侵入者は誰1人居なかった。

「どうしたんだい、秀吉?」
「いや、何か居たような……。気のせいか」

秀吉はため息をつき、また月が浮かぶ空を見上げた。


*****

甲斐。

「兄貴、どうしたんだよそれ……」
「あぁ? 気にすんなよ……」

彼方は濡れ手拭いを片手に、ため息をついた。
彼の目の前に居るのは、兄海琉の痛々しい姿だった。腰に青い痣を作り、所々には擦り傷を作っていた。
そこに、紅羽が銀を通りかかり気付いた。

「どうしたんですか、その痣」
「聞いてくれるな、紅羽ちゃん。まぁ、痛いんだよね」

はは、と力なく笑う海琉。
銀はにゃぁ、と鳴いて、海琉に近付いた。
すると、海琉は怪我をしているというのに俊敏な動きで銀から離れる。ティッシュを片手に。
くしゃみをする海琉を横目で、彼方は紅羽に声をかける。

「佐助が朝餉を用意してくれてるから食べてきな。はい、銀」
「うん。海琉さん、お大事に」

大丈夫だよー、と海琉は紅羽に向かって言う。
彼方は海琉に向かって、小さなため息をつき、体に包帯を巻きつける。

「まったく、どこで怪我してきたんだか。寝相悪すぎ」
「ゴメン。朝餉は、取っておいて」

海琉は半泣きしながら、彼方に頼んだ。
了解、と彼方は返事をすると濡れ手拭いを手に、部屋から出て行った。
誰もいなくなるのを確認すると、海琉はつぶやいた。

「やっぱ、あれって銀ちゃんなのかな……」


*****

「海琉さん、どう?」

佐助は彼方に訊いた。
んー、と彼方は唸り、そして返事を返す。

「大丈夫でしょ。死にはしないよ」
「それもそうかー」

そんな他愛のない話をしていると、幸村と幸音が飛び込んできた。
どうやら2人とも、鍛練中のようで。
佐助は頬をポリポリと掻き、彼方は顔を押さえてため息をつく。
そして、2人同時に叫んだ。

「「外でやってこい!」」

しかし、2人は聞かなかった。その時、

「た、大変です! お館様!」
「何事じゃ」

信玄が奥の部屋から現れた。
慌てて駆けてきた城下町の人は、息を整えて叫ぶ。

「豊臣が攻めてきました!」

それは、平和が崩れる音。
訪れるは果たして、絶望なのか。希望なのか。