BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.105 )
- 日時: 2010/11/21 14:22
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
銀猫編 第7話【視点無し】
銀髪で猫耳をつけた女の子が、長い槍を持って紅羽を守っていた。
彼方と紅羽の目が、点になる。
すると、女の子は紅羽に向かって笑いかけた。
「大丈夫。銀が、守ってあげるから」
「え、あなたはもしかして——???」
紅羽が言い終わる前に、女の子は戦場の中心に向かって駆けだした。
「紅羽ちゃん、大丈夫?」
「追いかける」
紅羽は、女の子が走って行った方向に向かって、駆けだす。
焦りが見えていた。
彼女の心に、焦りが見えていた。
彼方は、止めなかった。何も言わずに、紅羽の背中が戦場に消えて行くのを、見ていた。
*****【紅羽視点】
どうして、あの子がいるの?
どうして、あの子が人間になっているの?
私の中に渦巻く『どうして』は、振り払われずに、ただただ増すばかり。
破裂する。
心が、弾け飛んでしまいそうだ。
単に言えば、怖いだけ。
あの子を失いたくないだけ。ただそれだけ。
でも、何でここに居るのかが分からない。
助けに来たの? それとも、死にに来たの?
『銀が、守ってあげるからね』
じゃぁ、私は何故戦場にいるの?
—— あの子を、失いたくないから。
戦わなきゃいけない。守る為に。
あの子を失わない為に。戦う。
「銀!」
あの子の名前を叫ぶ。
こんな戦場で呼んでも、出てくるはずがないのに。でも、呼んだら来てくれるかと思って。
現れない。
やっぱり、そうよね。戦場だもの。
きっとどこかで、死んじゃったんだわ。
視界の端を横切る銀影。
まさかと思ってその方向を見たら、豊臣軍の兵士の刀。もう少しで私に刺さる。
死んでしまう。
それでも良い。 良いの?
もう、ゆっきーに会えないし、BASARAも出来ない。彼方君のお菓子だって食べれない。
死にたくない。
でも、体が動かない。
「 ちゃん!!!!!!」
目の前に現れて、私を守ってくれた銀髪猫耳少女。
兵士を槍で突き倒し、自分も地に倒れた。
見れば、腹に刺し傷があった。しかも、かなりの出血だ。このままでは、彼女は死んでしまう。
「ねぇ、ねぇあんた……」
「あんたじゃないよ、銀だよ……」
銀と名乗った少女は、柔らかな笑みを浮かべた。
「銀はね、紅羽ちゃんに会えて、幸せだったよ。だから、謝らないで良いよ」
「銀は、後悔してないよ。紅羽ちゃんを守って死んだんだもん。誇りだよ」
「今も死にそうだけど、悔いはないよ。銀と一緒に居てくれてありがとう」
銀は笑った。荒い息を繰り返して、曇天を見上げる。
嫌だ、死なないで。
これから、たくさん良い事が待っている。素敵なことがある。
だから、死なないで。
「銀、死なないでよ。死なないで!!!」
「紅羽ちゃん……」
銀は私の胸に顔をうずめ、眠って行った。
温かい。
銀のぬくもり。
「銀……!!!」
*****
豊臣は、一時撤退。銀はきちんと埋葬した。
悔いはないって言ってた。信じても良いのか悪いのか分からないけど。
化けて出てきても、何もないけどさ。
「……銀ちゃん、死んじゃったって」
「そりゃ、お気の毒にね」
慶次さんの声が、胸に響く。
「紅羽ちゃん、もう行こう。お館様が待ってるよ」
「……うん」
私は立ち上がり、背を向けた。
—— 紅羽ちゃん。
声がした。
銀髪の少女が、笑っていた。
「 」
「銀!!!」
名前を呼んだ途端、季節でもないのに桜の風が横切り、姿を消してしまった。
あの姿は、まさしく銀。
何を言ってきてくれたのだろうか。
私には分かる。だから、答えるね。
「私もだよ」
—— ありがとう。大好きだよ。
*****
「なぁ、あれで良かったのか?」
天空は、空高いところから彼方と紅羽を見下ろしていた。
隣にいるのは、無表情の翔。
「良いんじゃないか? あいつが望んだ事だ」
それよりも、と翔は話を続ける。
「あいつが動く」
「……マジか」
天空は、苦虫を噛み潰したような表情を作る。
翔は、頭上に広がる空を見上げて、うなずいた。
「リエン……」
次回予告!
ラスト迫る! ラストォォ!
でも、その前にギャグ全開のBASARA組結成編。お贈りします!
お楽しみに!
ラストに出てきた、リエンとは?
うぅ。気になるね! 見逃さないでね!