BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.115 )
- 日時: 2010/11/30 17:08
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
戦国死神編 第2話
あれから、兄貴が帰ってきていない。まだ任務中だろうか。
きっとそうだな。どこかで任務をやってんだろうな。
縁側でのんびりと空を眺めていたら、部屋から佐助とお館様の声が聞こえた。
「お館様、いかがいたしましょう」
「うむ……。豊臣が小田原に進軍となると、少し厄介じゃな」
豊臣が、小田原に進軍? 嘘だろ、マジで?
兄貴、一体何をやっているんだ。小太郎もいないし、皆ここに集合している。
豊臣は強い。俺らが束になっても敵わない程の強さだ。
「どうしよう……」
不安が胸に募る。
息をするのも苦しくなり、打開策を頭の中で練る。こういう時に兄貴がいたら————
『まぁ、無理はしない方が良いよ。大丈夫、俺が佐助を誤魔化しておくからさ』
何て言って、笑顔を振りまく。
そうだ。皆で小太郎を救いに行こう。
急いで立ち上がり、皆の許へ急ぐ。
「皆!!!」
「どうあぁぁぁ?!!! ど、どうしたんだよ、彼方! 敵襲?!!」
元千代が驚いた様に訊く。後から元喜に殴られていたが。まぁ、そこは置いておいて。
翔達もいる。先祖もいる。皆いる。よし、話そうか。
「豊臣が、小田原に進軍w「「「何だとあのお山の猿が!」」」え、ちょ、待って。何でそんな意気込んでるの?!!」
皆の熱気が半端ない。
どうした皆。一体何があった。
翔達との温度差が、ものすごい激し……ん? どうしたんだろう。
五月ちゃんや飛鳥ちゃんはともかく、潤さんと寧ちゃんは借りてきた猫並みに大人しい。
翔も沈んだ表情をしている。
「どうしたんだよ、翔。腹を下したか?」
「んな訳ねぇよ。ただ、少し……嫌な事が起きた」
翔が深刻そうな声色で、言葉を紡ぎ出す。
どうしたんだろう、嫌な事? ネズミが出たかな。
「全ての死神は、アタシらの事を敬意と畏怖を込めて7死神というの」
「7死神? ……皆は6人じゃん」
その話に気付いたのか、慶次が寧ちゃんに言った。
しかし、寧ちゃんは首を振って否定を現す。
「その7人目の死神はな、遥か昔に俺らが封印したんだが、豊臣がその封印を解いちまった。その名前が」
「リエン、だよ」
鈴を転がすような軽やかな声とは裏腹に、体を貫くような殺気。
途端に寧ちゃんが動き、襖を破壊して外へ飛び出す。
そこに居たのは、白髪で鈍色の鎌を持った、白装束の『翔』がいた。
いや、正確には翔と瓜二つの少年がいた。
「リエン、何しに来た。主に従わないのか?」
翔が低い声で、リエンと呼んだ少年に問いかける。
リエンは、軽い調子の声でけらけらと笑い飛ばしていた。
「ちゃんと従っているよ。今も、主の命令でここに来たんだ。この人と一緒に挨拶をしているんだよ」
リエンが視線を上に巡らせると、風が下に降ってきた。鴉の羽を舞い散らせ、現れたのは
鳶色の、青年。
「風麗黒羽(フウレイコクウ)猿影、海琉にございます」
「えへ。海琉さんと一緒にー頑張ります」
リエンはにっこりと笑顔を浮かべると、踵を返す。
兄貴はツイと視線をそらし、リエンの後に続く。させるか。
俺は兄貴の腕をつかみ、止まらせる。
「どうして……兄貴」
「……」
兄貴は何も言わない。そして、俺の手を振り払って言い捨てた。
「ゴメン。彼方、きせら」
風は、冷酷で。
兄貴を止めてくれることはなかった。