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Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.116 )
日時: 2010/12/04 15:44
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

戦国死神編 第3話【視点無し】

———— 風が、止んだ。

闇に浮かびあがる、1つの赤。仮面で覆われた顔が、夜の空を映しだす。
銀色に輝く月が、彼を見ていた。
そう、彼—— 風魔小太郎を。

———— 一体、何が起こった?

風魔は辺りを見回した。
しかし、今の小田原には、誰1人敵として見えるような者はいない。
彼の頬に、湿った風が吹き当たった。ふと、顔をあげて風魔は言葉を吐き出す。

「ゴメン、彼方————」


*****

朝は冷たい。しかし、今日はいつにもまして冷たかった。
どうして冷たかったのだろうか。きっと、こいつのせいだろう。

「……風魔?」

甲斐の城、庭には風魔の倒れた姿があった。腹部には深い傷がある。血が止めどなく溢れていた。
その光景を見て、彼方は息が止まりそうになった。
あの強い風魔が、こんなボロボロの姿でいるのだ。
震える足を必死に止めて、フラフラと風魔に近付く。息をしている事を確認すると、名前を叫んだ。

「風魔、風魔!!! 一体どうして、甲斐まで……」
「ハッ……、ハァ、……。そこ、いるの。彼方?」

薄い唇から紡がれる言葉は細く、そして荒かった。
彼方は風魔の手を握り、泣きながら叫ぶ。

「どうして、こんなところにいんだよ……。どうして、傷だらけでいるんだよ」
「……お前の、兄は強いな」

その言葉を聞いて、彼方は風魔の顔を見下ろす。
微かに笑う風魔の表情。しかし、それはいつまで持つだろうか。今にも死にそうなのに。
風魔はゆっくりと体を起こし、彼方の頭に手を乗せる。

「兄貴、どうして? 知ってる——」
「昨日。この傷をやったのは、お前の兄だ。何とかお前に知らせようとして、ここで力尽きたんだ」

苦しそうにうっと呻き、血を吐き出す。
彼方の表情が強張った。そして、フルフルと横に首を振る。

「ヤダ、風魔死なないで! お願い、死なないでよ!」
「死ぬ訳ない。ただ、少し休むだけ——」

その途端、風魔の手が彼方の頭から落ちて、地に沈む。
震える手で彼方は、風魔を触り、そして抱きしめた。涙を流しながら。

「……」

ずっと見ていた佐助は、何も言わなかった。


*****

風魔は彼方の部屋に運ばれ、治療を受けていた。
死神による治療で一命は取り留めたものの、意識はまだ回復しないだとか(By五月)
彼方は、何かを決めたような表情で立ち上がると、今まで下ろしていた髪をヘアバンドであげた。
学生鞄の中から苦無や鎖鎌などの暗器を服に隠し、腰に佐助からもらった大手裏剣を持つ。

「何をしに行くんだ、彼方」

政宗は、支度をする彼方に問う。
すると彼方は、平然とした表情で答えた。

「豊臣を殺しに行く」
「……死ぬ気か?」
「そうとも言う」

彼方はだらしなく笑うと、部屋を後にした。
後から佐助が、慌てた様子で彼方について行く。

「止めろよ彼方! 今の豊臣を止められるのは、誰もいない! よく考えろ、あっちにはリエンが——」
「佐助」

佐助はピタリと反論を止める。
彼方は、にっこりと笑うと、言葉を紡ぎ出した。

「Je vais encore pour aider un plus vieux frere」
「????」

「行くのか?」

風魔の部屋が開き、凜音が顔を出す。
後ろから元喜が不機嫌そうな表情で、顔を出した。

「あぁ、行くよ」

彼方が、平然と答えた。
すると幸音がにっこりとした笑みを浮かべ、言葉を紡いだ。

「Ayez un jour agreable」
「旦那……」

凜音も負けじと、言葉を吐き出す。

「N'agissez pas sans reflexion」
「凜音、お前も……」

さらに、元喜も嘲笑つきで。

「Je ne suis pas travaille dur dehors a l'extreme」
「あはは、元喜。それは酷いや」

でも、と彼方は柔らかな笑みを浮かべると、こう言った。


「Vuyez-vous」


風と共に去った。

向かうは大阪。兄の所へ。


「なぁ、今喋ってたのって何? 南蛮語?」
「フランス語だ」
「どこだよ……」


※ちなみに皆はこう言っていました。

彼方(一番最初)「それでも、俺は兄を助けに行く」
凜音「無茶はするなよ」
幸音「いってらっしゃい」
元喜「せいぜいくたばらないようにするんだな」
彼方(一番最後)「いってきます」


すみません、ノリで入れてみました。フランス語。