BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.119 )
日時: 2010/12/07 17:36
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

戦国死神編 第4話

夕暮れ時を駆ける。ザザッと音がして、木の葉が揺れた。
俺は今、大阪へ向かっている。
え、理由? それ訊くの?

兄貴を連れ戻す為だよ。

豊臣の下で、兄貴は戦っている。兄貴はきっと働かされているんだ。理由もなしに、俺らの前から姿を消さない。
でも、本当に兄貴は。兄貴は、望んで豊臣で働いていたらしたら?
そこで俺の足が止まる。
望んでいたら、俺は邪魔なだけ。そうなのか? そうなんだ。
あぁ、どうしてここまで来た? 兄貴を連れ戻しに来たんだろう?
どうしてためらう。ためらうな。前へ進め。

「ッ!!!!!」

また、前へ進む。
歩く。走る。駆け抜ける。森の中を。

「兄貴ッ!!!!」


*****【佐助視点】

彼方は、海琉を連れ戻しに大阪へ駆けて行った。
何であの時、傷つけても止めなかったんだろうか。きっと、それだけ彼方の事が大切なんだろうか。
大切なんだろう。
彼方は色々なものを抱えすぎだ。
俺様を大切に思っているのも、幸音の旦那も、旦那も凜音も小太郎も紅羽ちゃんもお館様も。元千代も元喜も皆。
そして、きせらちゃんと海琉さんも大切に思っているのだろう。
何で俺様が行かなかったんだろうか。

「彼方……!!!」

着ている迷彩の忍び服の胸元を、ぎゅうと握る。
胸を締め付けるこの気持ちは何だよ。苦しくて、後悔が後を絶たない。
泣きたくなる。彼方を失うようで、胸に銃弾をブチ込まれたような感覚だ。
その痛みは、どの拷問よりもどの傷跡よりも痛く胸を刺す。

「何だよ、この気持ちぃ……!!!」

取れない。
平常心を装えない。
怖くて、何も考えられない。
すると、声が聞こえた。

「佐助」

幸音の旦那だ。その表情がすごい悲しそうで。
あぁ、この顔を見たからか。まぁ、分かるけど。

「彼方の、事でござるか?」
「……。まぁ、そうなんだけど」

幸音の旦那は俺様の隣に立ち、夜になった空を見上げる。
苦笑を洩らし、言葉を紡ぐ。

「彼方は、海琉殿を大切に思っている。それは、兄だからだろう。父もいない、母もいない。それが猿影3兄弟の生きていた道」

俺様も親はいない。
もう忘れた。

「特に、海琉殿は中学3年の頃からバイトをしていてな。高校に入れたのは、学園長から忍びの腕を買われて推薦されたでござる」

学校か。彼方がよく言ってるな。

「海琉殿は、彼方ときせら殿を養いながら学校に通っていたでござる。覚えているんだ」
「そうなんだ」
「佐助は、後悔しているでござる」

え?

「佐助は、彼方を止められなくて後悔している。そう申した。そうでござろう?」
「でも、後悔なんか……」
「今からでも遅くはないでござる」

幸音の旦那が、笑みを見せた。

「行ってくるでござるよ」

そうだね。
彼方は、俺様にとって大切な人。
だから助けたい。

「ありがとう。幸音の旦那」
「某達も大阪に向かうでござる。豊臣を倒す為に!」

待ってて彼方。
今、皆で助けに行くよ。