BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.124 )
- 日時: 2010/12/10 18:00
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
死神暴乱編 第1話
「何で、主人は眠っているの?」
リエンは、まるで人形のように喋る。その声は、異常なまでに低く怒っているようだった。
すると、翔が前に進み出て、背の赤い鎌—— 炎神を抜く。その刃を、リエンに突き付けてどなった。
「リエン。お前は今ここで、俺の名を以て始末する」
リエンの表情が、硬くなったのが見えた。
翔も本気で、リエンを殺そうとしている。潤さんも天空さんも、五月ちゃんも飛鳥ちゃんも寧ちゃんも皆。
何をしたって言うの? リエンは、一体何を犯したの?
「お前は人を殺し過ぎだ。リストにも記載されていない人々を殺して……。皇帝様はお怒りだ」
「リエンは、リエンは主に従っていただけだ。殺せと言うならば、お前も殺すだろう? 翔」
リエンは苦しそうにうめいていた。
だが、翔は横に首を振る。否定の意を示していた。
皆も首を横に振り、否定する。(五月ちゃんは考えていた。きっと毛利だからだな)
……死神って、大変なんだな……。
「残念だけど。俺の主は、そんなに人をバンバン殺せって言う人じゃない。主が望むなら、俺は人を事そうか。あんたのように」
静かな口調が、緊張した空間に響く。その声が、やけに怖く感じた。
「リエンは———— 悪くない。悪くない」
リエンは首を小さく横に振る。瞳の奥の焦点があっていない。
その時だ。
ズズズズズズズズズズズズズズ…………。
城が突然、揺れた。
「なっ?!!! じ、地震?!!」
「彼方。前!」
佐助が俺を引く。
前を横切ったのは、黒くてモヤモヤした何か。見ればそいつは、ゾンビだった。
いや、正確にはゾンビではなく(いや、ゾンビだけども)フラフラと動く、豊臣と竹中。
まずい、心が飲まれたか?!!
「お前ら全員避難しろ! 心を飲まれる!」
俺の術、闇葬はそんな乱発出来ない。俺の体力にも、そりゃ限界があるってもんだ。
でも、1つだけ出来る。今の『俺』で、今出来る事は。
皆を守る事。
「闇よ、夜よ、我が猿影彼方の名に懸けて。ここに召喚する」
目配せで皆は応答し、きせらと兄貴には悪いが2人抱えてもらう。
きせらは上杉殿とかすがちゃんを。兄貴は風魔とお館様を。
皆は、各々の先祖を抱えて城の窓から飛び出す。
おっと、忘れちゃならねぇ。死神達もな!
俺は全員の襟首をつかみ、外へバンバン放り出す。最後には俺っと。
「彼方!」
翔が遠くで叫ぶ、けど気にしない。
俺はリエンに視線を投げる。
リエンは、闇の中でただ1人、フラフラと立っているだけだった。
—— ゴメン、君には罪はないけど。死んでもらう。
俺は外を飛びだし、真夜中の空の下へ飛ぶ。
印を大阪城に向けて、言葉を放つ。
「闇の呪縛を解き放ち、対象を破壊せんとする」
「呪術、第2段階。黒蛇!!!」
———— ドォン。
天守閣が破壊され、城は崩れる。
灰の山だね。うん。ゴメン、戦国の皆さま。
「無駄だよ」
スタンと、受け身を取ったと同時に聞こえた、リエンの声。
直後、城の一部が、空へと放たれる。
そこから現れたのは、瞳孔を全開にしたリエンの姿だった。