BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.129 )
日時: 2010/12/13 16:09
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

死神暴乱編 第5話【視点無し】

空中を滑るのは、黒光りする苦無。それに合わせて、鈍色の鎌が空中を引き裂く。
夜明けの空に響くのは、金属がこすれる音だけ。

「アハッ!!! 愉快だね、死神と殺し合えるなんて」

狂は楽しそうに苦無を振る。
相手をしていたリエンは、狂の苦無を弾き喉元に鎌を突き付けた。
瞳孔が全開。しかも、荒い息を吐き続け、苦しそうだ。
そんなリエンを見ても、狂は笑っていた。それはもう、楽しそうに。嬉しそうに。

「こんなに楽しい事はないよ。ねぇ、死神さん」
「リエンを、怒らせないで!」

リエンは、大鎌を振り上げた。
瞬間————

キィン。

狂の目の前で、赤い大鎌が現れ、刃を止めた。
視線を投げれば、そこにいたのは翔だった。しかし、少しだけ違う。
いつもの漆黒の闇のような髪の毛は、少しだけ赤く染まりワイン色に輝いている。瞳の色も薄く赤みがかかっていた。
犬歯をむき出しにして、翔は狂を睨みつける。

「こいつに、手を出すんじゃねぇ」

狂はつまらなさそうに顔を膨れさせて、翔に向かってどなった。

「どうして? 俺の獲物だよ」
「邪魔をするなら、お前ごと殺させてもらう!!!」

翔の怒号が、夜明けの空に響いた。同時に、ゴウッと炎が空を焦がす。
狂は小さなため息をつき、そしてにっこりと笑みを作った。

「地獄業火、獄炎乱舞!」

炎が大蛇の形を纏い、狂へと襲いかかる。しかし、狂は物ともせず、ひょいとよけてしまう。
翔は、炎神をぐるりと回転させて、狂へと襲いかかる。
狂は空へと逃げ、印を結んだ。

「第2段階—— 融解」

空を滑る狂の体が、ドロリと溶けた。
その場にいる全員は目を疑ったが、海琉だけは苦しそうな表情を浮かべていた。

「融解、黒睡蓮!」

睡蓮の花が、翔を襲いかかるが、炎によって消滅されてしまう。
狂は舌打ちをして、またすぐに印を結んだ。しかし、そこできせらの声がかかる。

「狂兄ちゃん! それ以上の段階は、体が——!!!」
「うっさい。まとめて死神をやっつけたら!」

きせらの話を聞かずに、狂は呪文を唱える。

「第3段階—— 昇華!」

闇が体からあふれ出し、空へと昇り大きな弾を作る。
狂は翔を指差し、にっこりと笑った。

「昇華、黒龍!」

弾から龍が飛びだし、翔へと攻撃する。
翔は炎神を一閃して黒龍を散らし、一瞬で狂へと近づく。そして靴底の蹴りを見舞う。
狂は苦しそうにうめき、また印を結んだ。

「第4段階—— 疾駆!」

ザザザ、と闇が空を駆け、狂の真上に集まる。
その瞬間、緑色の閃光が闇を貫いた。

「第9段階—— 慟哭、秘術。風麗」

鳶色の髪の毛が、狂の視界を横切った。
海琉が忍者刀を構え、狂の前に現れる。そして、どなった。

「狂、いい加減にしろ。それ以上やったら、お前だけを殺す!」
「ハハッ。出来るの? そんなの、?@ks@ajlakfjl」

声にならない叫び声をあげて、狂は倒れこんだ。
足に縛り憑いているのは、光の縄。その縄は、幸音の足もとまで繋がっている。
幸音は、狂に向かって叫んだ。

「彼方! 元のお前に戻れ!」
「……、それ言われちゃお終いだわな。へいへい、旦那。仰せのままに」

狂はだるそうに印を結び、瞳を閉じた。
闇が狂を包み込み、しばらくして空へ消えた。そこにあったのは、赤い髪の毛をした少年だった。

「彼方!!!」

幸音は名を叫ぶ。
彼方は、ゆっくりと瞳を開け、飄々と笑う。

「戻りましたよ、旦那」
「うむ。うむ。良かった、また彼方が暴走するかと思って——!!」

刹那、空が落ちてきたような爆発音がした。
見れば、リエンがとてもお怒りに……。

「どいつもこいつも、リエンを邪魔するなあぁぁぁ!!!!」

怒号と同時に、リエンは灰色の球体に包まれてしまった。
弾け飛び、姿を現したリエンは——


白髪で、銀の瞳。手に持つのは、真っ白の鎌。


その姿を見て、五月は震える声で叫ぶ。

「リエン。禁忌の白死神の血を飲んだ——?!!」