BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.130 )
- 日時: 2010/12/14 18:09
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
死神暴乱編 第6話
目の前にいるリエンの姿は、漆黒の対となる純白。雪を通り越して、光のようだった。
五月ちゃんが言うには、リエンは『禁忌の白死神の血』を飲んだらしい。何だそりゃ。
とにかくだ。今はとてつもなくヤバイ状況らしい。
「くそ!!! 先祖子孫を俺の許に集めろ!」
兄貴が遠くで叫んでいる。
皆は、手負いの体だと言うのに、俊敏な動きで兄貴の所まで先祖を連れて行く。
すると、兄貴はブツブツと念仏みたいなのを唱え始めた。そして、自分だけ皆から離れ、ビシッと指を差す。
「秘術、守護式」
俺らの周りを、ドームの様な壁が包み込む。
まさか、兄貴—— 死ぬ気じゃ……。
「俺がまいた種だ。俺が何とかする。そこで見とけよ、俺の勇姿を!!!」
おいぃぃ!!! 親指をグッてやられてもおぉお!!!
あいつ、死ぬ気だ。絶対死ぬ気だ!
この野郎、この野郎!
誰1人欠ける事は許さない。たとえそれが、兄貴でもな。
しかし、兄貴は風の技を駆使して、翔達を助けている。翔達も止める気はなさそうだ。
リエンも苦しそうな表情で、あの白い鎌を振っている。何で、そんな悲しそうに振るんだろうか。
—— 1人は、怖いんだ。
(リエンの声……??)
頭に響いたのは、リエンの声だった。
1人は嫌? リエンの声なのか。この声は。
—— 誰も殺したくないんだ。
誰も殺したくないなら、何で戦っているんだろう。
今の表情からでは、そんな思いは予想出来ない。少なくとも、殺す為に戦っているのではないのだろうか。
—— もう、自分が嫌なんだ!
……もしかして、嫌々戦わされている?
あぁ、そうか。その事を知らずに、皆は殺そうとして戦っているんだ。
今、ここで救ってやらないでどうする。彼方よ。
そうだ。これでこそ、俺なんだ。こんな所で、呆けている場合じゃない。
すると、旦那も分かってくれたらしく、モップを構えた。
「行け、彼方。自分の身は、自分で守れる」
今日の旦那は、妙に成長しているように見えた。
帰ったらお祝いしなきゃね。沢山団子を作ってあげるよ。
「彼方。お前なら行ける。最高のpartyにしてこい」
「……信じてる。勝て、彼方」
「負けたら腹踊りな! 絶対だぞ!」
「死ぬんじゃないわよ。死ぬんだったら、あの時みたいに復活、なんてのは御免よ!」
「我はどうでも良いが、甘味が喰えなくなるのは困る。だから、死ぬな」
子孫共。ありがとう。愛がこもっている(こもってる?)言葉を。
「彼方殿! 某も応援するでござる!」
「Hey,彼方。くたばるんじゃねぇよ、全員泣くぞ」
「お気をつけて、いってらっしゃいませ!」
「絶対勝つって信じてるからな」
「……フン、まぁ勝たなければ、承知はしないがな」
「勝て。それが私の言葉だ」
「彼方よ、けっしてむりはしないでくださいよ」
「生きて帰って来いよ!」
「戦うことも、また試練!」
「……頑張れ」
先祖共もありがとう。何か、心にしみます。
すると、佐助が俺を強く抱きしめてくれた。今までのよりも、強く強く。
「生きて。それが、俺様の願いだから」
「あはは。単純すぎだ、それ」
俺もギュッと抱きしめ返すと、するりと佐助の腕から離れる。
きせらに目配せをして、軽くうなずいた。
時間は一瞬。その一瞬に、全てを賭ける。
「分かってる? 一瞬だからね」
「OK。身にしみてます」
きせらの横顔は、とても大人びたように見えた。真剣だからだろうか。
ゆっくりと手を伸ばす。バチバチと雷撃が奔り、腕を痛めつける。
こんなもの、リエンに比べたら痛くもかゆくもない。
「リエン。本当は、寂しいんだろ」
外の動きが、完全に静止した。
リエンは、震えながら俺を見ている。
「本当は。殺したくないんだろう?」
耳を手でふさぎ、首を左右に振る。
ハッ、嘘ばかり。俺にはそんなの、効かないよ? だって、本当の事を聞いたから。
ドームに穴が開く。その一瞬で、俺は外に出た。
「本当は、嫌々戦ってんだろ! リエン!」
「言うなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!!!」
リエンの怒号と同時に、白い光があふれ出した。