BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.29 )
日時: 2010/09/07 17:45
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

雪谷編 第1話

「なぁ天空。これから俺、どこ行けば良いんだろうか…」
「へ? ちょっと、上からのお話聞いてたか? あのね、君は長宗我部のいる四国に行くんだよ」

海に解けるような深い青い髪をした少年が欠伸をしながら言った。
答えたのは、金髪の少年。まるで異人のようだ。
その少年2人の後ろには茶髪の少女が不機嫌そうな表情でいた。

「へぇ、そのちょおそがべって所に行けば良いんだな! 了解、おっけー、分かった!」
「ちょっとぉ、潤。真面目にやらないとまた翔に怒られるわよ」
「そういう飛鳥こそ。今度はキレて、土地を全焼させないでよね。上に怒られたのは翔だよ?」
「わ、分かってるよ!」

飛鳥と呼ばれた茶髪の少女はプイッとそっぽを向いた。
天空と呼ばれていた金髪の少年は大きなため息をついた。
潤と呼ばれていた深い青の髪の少年はけらけらと笑う。

「んじゃ、行きますか。ところで、天空と飛鳥」
「「何(よ)」」

「行き先、分かるか?」


「「バカァァァァァ!!!!!!!」」


*****

甲斐

「え、豊臣が動き始めた?」

俺は佐助に訊き直す。
耳がおかしいのか? 今、豊臣が動き始めたって聞こえたんだけど聞き間違いですよね?
ですよね?!!!

「本当らしいよ。豊臣が奥州に兵を送ったって」

佐助は平然と答えた。
へぇ、この野郎。良くも平然と…って違うじゃん!
凜音達が危ないって!

「凜音や小太郎は? 政宗や小十郎さんは?!」
「残念だけど、群雄割拠の戦国では周りは皆敵さ。まして救いに行くなんて…」
「でも、凜音も小太郎も俺の仲間なんだ! 助けに行く!」

すると、何事だと幸音の旦那が顔を出してきた。後ろには兄貴ときせらがいる。
ついでに翔も。

「豊臣が奥州に向かって動き出したらしい…」
「「「「?!!!」」」」

皆驚いた顔をしていた。
そりゃそうだろうよ。何せ、皆初耳なんだもんよ。

「どういう事だ、彼方! 凜音殿や小太郎殿はどうなる?」
「このままじゃ殺されるの一択だよ。何とかならないのかよ」
「凜音さん、優しいのに!」

皆はぎゃーぎゃーと騒ぐ。
すると、翔が言った言葉が皆を動かすのだった。


「助けに行けば良いんじゃね?」


そう、それ。それが聞きたかった! じゃなくて!
そうだ、助けに行こう。そして豊臣を潰せば一石二鳥。
相手は豊臣…。楽な相手じゃないけど、まぁ、何とか行けそうだ。その時

「翔君、ちょおそがべって分かる?」
「翔、潤をどうにかしてくれ…。僕は疲れたよ」
「アタシも疲れた。越後ってどこ?」

誰、こいつら。

「潤、天空、飛鳥。お前ら、まだ行ってなかったのか! バカだろ、お前らバカだろ!」

海色の奴が潤で、金髪が天空で、茶髪が飛鳥。
もう、訳が分からなくなってきた。

「特に天空! お前、奥州だろ? 豊臣が攻め込むぞ!」
「本当に?! ヤバイ、早く行かなきゃ!」
「待て、俺らも行く!」

俺はその天空に向かって叫んだ。

「この身、何に使ったって構わない。仲間のピンチを救うのが、20世紀の男だ!」
「そうでござる。この幸音、どんな試練にも耐えて見せましょうぞ!」
「俺も久々に働いちゃうよ?」
「アタシも、忍びだもん!」

皆、優しいんだなぁ……。


*****

「あれ、佐助。彼方殿や幸音は?」
「奥州に遊びに行ったよ」

ふぅん、と幸村はうなずくと、佐助の隣に座った。
佐助は遠い遠い空を眺めているしかなかった。

———— 無事で帰ってこい、彼方。


奥州


夕焼けがとても綺麗な摺上原。そこにあるのは、伊達軍の屍。
その中で、倒れていたのは。

六爪流使いと、6本の箒。そして、倒れた家臣。


「凜音、小太郎おぉ!」
「政宗殿、小十郎殿!」


叫び声が、夕焼けの空に響き渡り消えた。