BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.30 )
- 日時: 2010/09/08 16:10
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
雪谷編 第2話
政宗や凜音は静かに布団で寝ている。小太郎も、小十郎さんも。
他の兵達は生き残っている者のみで手当てをしていた。
もちろん、俺達もフルで働いてます。くそ、多すぎるんだよぉ、皆ぁぁぁ!
「ゴメン翔。殿を守れなかった」
天空って奴は、翔に頭を下げていた。その顔には愁いの表情が浮かんでいる。
翔は気にするな、と言っていた。
幸い、政宗達は無事で息もちゃんとしている。死者はほとんど出なかったと言っても良いぐらいだ。
ただ、問題なのは目を覚まさない事だ。
今は静かに眠っているが、目を覚まさなかったら死に至る。
そんなのは御免だ。
「気にする事はない。死んでいないのだから」
「うん……」
完全にうなだれているよ、この天空さん。誰か、助けてあげて!
「おや、まだ生き残っていたんだね」
妙に落ち着いた声。聞き覚えのある声だ。
竹中半兵衛の、石田さんの声だ!
「竹中ぁ!」
旦那が叫ぶのが聞こえた。
何かと思えば、少数の軍を率いて竹中半兵衛がいるではないか。
おいおい、こっちは負傷者が何人もいるんだぞ? 自重をしろ、自重を!
「秀吉が失敗したらしいから、代わりに僕が政宗君を討ちに来たよ」
「させぬ! お主のような奴は、この幸音で十分だ!」
「旦那、無理はするな! 俺が行くから!」
主を傷つけさせられない。
俺は忍びなんだ。こいつごときに、負けてたまるか!
「彼方!」
「旦那は兵士達の手当てをお願いしますよ」
「嫌だ、彼方までも失いたくはない!」
「ごちゃごちゃ言ってないで、邪魔をしないでよ。僕には、時間がないんだ」
竹中は凜刀を振りかざした。
そのとたん、視界が回転する。要するに、俺は転んだのだ。
じゃぁ、凜刀の行方は?
「旦那!」
旦那に刺さっていた。
嘘だ、俺をかばって—————?
「か、なた…。無事か…?」
「旦那、嘘だろ…。旦那ぁあぁ!!!!」
旦那は静かに地面に向かって倒れた。
その光景を見ていた兄貴ときせらが怒って今いる豊臣の軍を殲滅。
俺は、まだ生きている旦那をただただ見ているしか出来なかった。
*****
幸音は幸いにも、一命を取り留めたが目を覚ます事はなかった。
「幸音君、大丈夫かよ。目ぇ開けろよ」
海琉が幸音に軽く触れる。
隣ではきせらが愁い顔で佇んでいた。
「彼方も、待ってるんだしよ?」
そう言って、部屋を後にする。
部屋から出れば、そこには翔の姿があった。
「おう、翔君。どうした?」
「いや、幸音の様子はどうかと…」
「ん、あぁ。平気だよ、何とか命は繋いでる」
布団で寝ている幸音に視線を投げる海琉。
翔は安堵したように息を吐いた。
「ところで、彼方は?」
「え、そっちに行ったんじゃないんですか?」
「来てないよ?」
忍び失格だな、俺。主を傷つけた。
辺り一面は雪景色。ここなら死んでも気付かないよな。
「ゴメン旦那。俺は使えない忍びだよ」
苦笑いがこぼれてきた。その時、
ズボッ!
「?!!」
俺の足元の雪が崩れた。
嘘、崖?! ここ、崖なの?!!
「う、わぁぁ!!!」
ゴメンね旦那。
もう会えないかもしれないけど、これだけは言っておくね。
今までありがとう。
「赤い髪の毛の、お兄ちゃんだべ」