BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.33 )
- 日時: 2010/09/10 16:56
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
雪谷編 第5話
「ん……」
嬌声か、それともただの寝返りか。
シン、と静まりかえった闇の中に声が響いては消える。
月夜の明かりすらも無い、真っ暗な世界。
「うぁ……ハッ、ァ…」
月夜が彼方を照らし出す。
汗をかき、胸辺りの服をつかんでいる。
うなされているようだ。
「ハ、ァッッ…!!!」
そこで目が覚める。
ここは、いつきが用意してくれた空き一軒家。1人では無駄に広すぎる。
彼方は顔を押さえて、呻いた。
「また、あの夢かよ……」
もう嫌だ。見たくない。
———— 旦那を、殺す夢。
助けてくれる人は、誰もいない。まして、愛する人すらも———。
彼方は体育座りをして、つぶやいた。
「佐助、元気かなぁ…」
その時だ。
ガタン
外で、何かが揺れた。
誰かが来たのだろうか。いや、それは有り得ない。何故なら夜中だからだ。
彼方は窓から外の様子をうかがう。手には苦無を握っていた。
シルエットは男。細身で長身。顔には仮面をつけていて、はみ出した髪は赤い。
風魔小太郎だ。
「風魔…っ!!!」
敵だと見た彼方は、外に駆けだして行く。そして、風魔の前に現れると、即座に忍者刀を構えた。
対する風魔は、何も装備をしない。
「何しに来た。ここの村を全滅させに来たのか?」
彼方の問いに風魔は答えない。
ふと、ある人が頭の中をよぎった。
(兄貴は、風魔小太郎の子孫なんだよな…。似てなくね?)
似ていない。まっったく似ていない。
海琉はおしゃべりな性格でバカだが、ここにいる風魔は違う。まったく喋らない。一言も。
どうしよう、話が続かなくて気まずい。
そう思っていた時だった。
[俺は、お前を探していた]
「俺を、探していたのか?」
訳が分からなくなってくる。何故、こいつは自分を探していたのだ。
そんな考えがよぎった。
風魔は筆談をしながら、言う。
[主が、お前を探している。俺も、探していた]
「いや、何で? 俺を、欲しがっているとか?」
[そうだ]
つまり、こいつは自分を探していた…?
「何の為に」
[知らない。でも、探している事は確かだ。だから、来い]
[来なければ、この村を破壊する]
あぁ、脅しだ。
そう察知した彼方は後ろを振り向く。
未だ寝ていて、起きもしない村人達。もし、ここで自分が行かないと言っているならば、殺されてしまうだろう。
彼方の目がうつむく。そして、震える唇を動かして答えた。
「そんなに、俺がほしいなら力尽くで奪って行け!」
彼方がそう言った途端、風魔の手刀が頸動脈を打ちつけた。
その衝撃で、彼方は雪の地面に倒れた。
風魔は彼方を担ぐ。
そして、ふと風と共に消えた。
次回予告
連れて行かれた彼方が目を覚ました所は、あの小田原城。
そして、風魔の主はあの北条氏政だった!
そんな事を知らない皆は、奥州を探しついにいつきのいる最北端までに着く。
が、そこにいるはずの彼方が置き手紙を残して消えたのだ。
皆は彼方を救う事が出来るのだろうか?!
次回から風魔編、スタート!