BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.34 )
- 日時: 2010/09/11 17:41
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
風魔編 第1話
変な香りがする。甘ったるいような、酸っぱいようなそんな香りがした。
目を開ければ、そこは見知らぬ天井。俺がいた雪国の家とは違う。
もう少し寝ていたいな…。
そう思って、寝返りを打った時、気付いた。
俺、変な布団で寝かされてないか?
起き上ってみれば、そこは蝶の模様が描かれた風俗みたいなベッド。辺りを漂うのは紫色をした、煙。
「う、わぁ…」
引いた。俺、超引いた。
何ココ? 何かのラブホ? うーわー、俺何でこんな所…。
「目が覚めたか」
聞いた事がない、声。渋くて、はっきりとしていて…心地が良い。
佐助みたいな、そんな声だった。
しかし、俺はその声に警戒して苦無を握る。
「誰だ」
そう問いをしても、答えは返ってこない。
振り向けば、そこには————
風魔小太郎が、いた。
「ふ、うま…!! んぐぅっ…!」
「静かにしろ」
風魔に口を塞がれた俺は苦無をしまい、睨みつける。
おい、何でこんなところに連れてきた。つーか、ここどこ?
風魔、一体どこに連れてきたこの野郎! 場合によっては兄貴に始末して———
いないのに どうやって?
悲しさが胸に込み上げてくる。抑えきれない悲しさが心を溢れ、涙として顔を伝う。
ダメだ、泣くな俺。今まで、1人で生きていけていたのに何故こんなにも悲しくなるんだ。
「旦那ぁ、凜音ぇ、小太郎ぉ…。ゴメンな、本当…」
守れなかった。
旦那も、凜音も、小太郎も、政宗も、小十郎さんも全て。
「小太郎?」
「お前じゃない」
「……」
すると、風魔が俺の頭に手を乗せた。
「う、な、何をして————」
「泣くな」
短く吐いた言葉が、奥に響いて
温かくて
懐かしい感覚。
———— 兄貴だ。
それは、兄貴に頭を撫でられている感覚。
流石風魔小太郎。腐っても先祖(←おい
「今は誰もいない。だけど、俺がいる」
「……ありがとう、風魔」
小太郎というのは、あっちの小太郎と被る。だから、風魔は風魔だ。
いや、ある意味兄貴でも良いかも。
*****【佐助視点】
甲斐
「何?! 彼方が行方不明じゃと?」
大将が鬼の様な形相で皆を叱る。
幸音君が目覚めてから、幸音君が暴走してりんねくんや小太郎君を叩き起こしていた。
怪我人でも容赦は無し。竜の旦那や右目の旦那も起こしていた。一体どういう能力をしているんだ。
で、今俺様達は彼方がいなくなった事を報告した。
そしたら、大将はこの有様。何故か? 自分の息子の様な彼方を行方不明にしたからだ。
「幸村、佐助! 何をしておった!」
「お館様。その罪は2人にはありませぬ。この幸音が、全て悪いのでございまする」
幸音君が大将の前に進み出てきて、土下座をした。
そして、沈んだ顔を上げて言葉を紡ぎ出す。
「某は、彼方を守る為に自ら飛び出して行き傷ついた。彼方は、それを自分の性にして…」
そこで、言葉が詰まる。
「『守るものが多すぎたんだ。だから、全てを守れるようになるまで、離れる』と、夢の中で申しておった」
全てを守るだって?
彼方はちゃんと守れている。なのに、何故?
「某は、某は———」
「幸音よ」
大将は幸音君に向かって
拳を振りおろした。
幸音君は吹っ飛んで、襖を突き破り壁に衝突をする。
あれ、死んだな。
「全てを抱え込む出ない。お主の周りには、誰がいる。お主を支えようとしてくれている、仲間ではないのか?」
幸音君は何も答えない。
「それは、彼方の代わりにはなりもしないであろう。だが、仲間であることは変わりはない。
お主も強くなれ! 幸音よ!」
「お館様ぁ! ご教授、ありがとうございます!」
「うむ、幸音ぇぇぇぇぇ!!!」
「お館様ぁぁぁぁ!!!!」
何でここで、殴り愛をおっ始めるんだ! 竜の旦那もいるんだぞ!
すると、凜音君が懐かしそうに言った。
「信繁先生を思い出すよな…」
「そうだね。幸音、良く信繁先生と殴り合いしてたもんね」
多分、そいつは大将の子孫だ。
待っててね、彼方。
今、助けに行くからね。