BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.42 )
- 日時: 2010/09/14 17:45
- 名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)
風魔編 第5話【幸音視点】
小田原に向かっている最中、声がした。
『俺はここにいるよ……』
それは、誰に言っているのだろうか。誰の声なのか、分からなかった。
けど、それはとても懐かしい声だったのだ。いつも隣で聞いていた、彼方の声にそっくりで——
「幸音?」
「……幸村……」
すると、幸村が某の顔を覗き込んできた。心配そうにしている。
「彼方殿がいなくなって、寂しいかもしれぬだろうが、夕餉をロクに食べないでどうなされた…?」
「何でもない。腹が空かぬだけだ」
空腹感が訪れない。心に不安の影が支配する。
彼方がいなくなるのはいつもの事だ。任務でいなくなったりしていたじゃないか。
なのに、何故こんなにも不安になる。某は一体、どうしてしまったのだ。
「幸音は、彼方殿を大切にしているのでござるな」
「彼方を……大切?」
「うむ。某も、佐助の事を大切に思っている。主として、そして盟友として」
幸村の視線が、遥かにいる佐助に移される。
夕餉の支度をしている佐助殿の姿は、彼方にそっくりでござった。
——— 旦那、夕餉の支度が出来ましたよ♪
そう言って笑顔で夕餉を出す、彼方の姿が目に浮かんでくる。
泣きだしそうだ。
そう思って、下を向いた時
ポフッ
幸村が、某を抱きしめていた。つーか、胸に顔を押し当てていた。
「俺は——彼方殿の代わりにはならぬかもしれぬ。だが、慰める事は出来る」
泣いても、良いのか? この胸で、この温かさの中で。
某は、泣いても良いのか? その時、
ザァァァァァァァ………。
嫌な風が吹いた。
夜に見えた、あの細身で長身な人。木の上に静かに立っていた。
あれは、誰だ?
すると、幸村が険しい顔で言ったのだ。
「風魔、小太郎殿…っ!!!」
そう、彼方の兄である海琉殿の先祖、風魔小太郎であった。
*****【風魔視点】
相手は真田幸村に伊達政宗、そして奴の右目片倉小十郎がいた。
傍では、あの猿飛佐助がいる。しかも、オカンの格好で(←訳分からん)
兵はあまりいない。だが、見知らぬ奴らがいる。
真田幸村ににている奴——こいつが、園田幸音か。
伊達政宗に似ている奴が伊達凜音、そしてその隣が片木小太郎か。
あそこにいる茶髪の奴は……誰だ? 金髪の女もいる。
さっさと始末しよう。
そう思い、俺は忍び刀を構えた時だ。
こ
ろ
さ
な
い
で
脳内で、あいつの声が反響して消える。まるで、シャボン玉みたいに。
蘇るのは泣きながら叫ぶ、彼方の姿。
——— 頼むから、殺さないで。
——— 大切な人なんだ。
例えば、この中の1人の首を持って帰ったら何と叫んで俺を殴るだろうか。
いや、殴るどころじゃない。きっと、泣き崩れてそのまま自害するだろう。
あいつを悲しませたくはない。守りたいんだ。
喜んだ顔が見たいし、一緒にいたい。だけど、だけど。
「ダメか」
殺さねばならぬのか。
手に持った刀がやけに重く感じた。
——— 殺さないで。