BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.52 )
日時: 2010/09/21 19:06
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

瀬戸内コンビ 『アゲハ蝶』第6話

「ハッ、ハァッ……。クソ、あのアゲハ蝶…速い」

俺は自然に出てきた汗を拭う。
あのアゲハ蝶は、どこまでもどこまでもひらひらと羽を動かし、飛んでいく。
待って、置いて行かないでくれ。
俺は、疲れた足を引きずりながらも、そのアゲハ蝶を追った。

「ったく、どこまで行くんだよ! 安芸にまで来させられたんだぞ!」

蝶に言っても答えてくれない。
そう、俺は今安芸にいる。手こぎ舟でここまで来たのだ。
しかも、毛利の陣地まで1人で来てるし。最悪だ。
ここで、誰かに会ったらマジ最悪。

「ちょ、おま、早く戻ろうぜ!」

だから蝶は喋らねぇって、何度言ったら分かるんだ。
あー、きっとあいつならこう言うな。

——— 何、くだらない事をほざいておる。バカが。

考えただけでもイライラしてきた。もう帰るか。
俺は蝶に背を向けて、帰ろうとした時


「元千代?」


凜とした、存在感のある声。透き通るような声は、俺が望んでいた人の姿を現す。
元喜だった。その顔には汗を掻いていて、息を荒くしてそこにいた。

「何だよ、てめーか」
「ふ、フン。我の方こそ、貴様に会いたくてここに来たんじゃない」

満月を背にして見る、あいつの顔はとても綺麗だった。
夜空に解けるようで、しかし銀色の月光に照らされて存在感のある茶髪。
身に纏うは、夏に良く合った薄緑の着流し。手には大きなヨーヨー。
俺を見つめる、端麗で真っ直ぐな瞳。
どれも俺をおかしくさせる。

「で、何なんですか。俺、帰っても良いか?」
「黙れ。我をここに呼んでおいて、勝手に帰る事は許さん」
「ハァ?!!! 誰が呼んだよ、誰が!」

ふざっけんな、死んでも呼ぶかっ!
って、言ったらおかしくなるけどよ。良く俺も、元喜の事を呼ぶし。
心の奥で、チクチクした物が刺さっているようで痛いんだ。
そして、その場には沈黙が流れている。

「「あの…」」

2人の声が重なった。

「な、何だよ! てめーから言えよ!」
「貴様から言え。このバカ千代が」
「うううるせぇなこの野郎!」

わーったよ、言うよ! と俺はやけくそで叫んだ。

「俺さ、あの時お前に言われた言葉思い出してよ…。少し、悲しくなったんだよな」

あの時、安芸に言われたあの言葉。
もう、2度と来るな。
その一言は、俺にとって相当のダメージだった。表では流石に見せなかった、俺の傷。
でも、元喜から手紙を受け取った時、ものすごい嬉しかった。
流石にあんな書き方はないだろうとも思った。だって、自分死にますって言ってるようなものだし。

「俺、お前と一緒にいたい。どう思われたって良い。姫若子とでも、何とでも言え!
 でも、この思いだけは変わらない。たとえ、お前が嫌いでもな。

 俺は、お前が好きなんだよ! 毛利元喜が好きなんだ!」

あー、俺らしくない。格好悪いぜ。
こんなやけくそな告白があるかよ。しかも、男に。
それを聞いていた元喜も、驚いた顔をしている。
当たり前だろうな。だって、これだし。

「ハハッ、何だそのやけくそな告白は」
「う、うるせぇな! てめーだって、何か言いたかったんじゃないのか?」

あぁ、言いたかったと元喜は微笑を浮かべながら言った。

「我をこんなに狂わせたのは、貴様のせいだ。責任を取れ、元千代。

 実際、我も素直ではないな。貴様のように、そんな熱く言う事も出来ない。
 自分の気持ちも、押し込んでばかりだ。笑えてくる。
 だがな、我も同じだ。貴様にどう思われようが、変わりはしない。

 元千代が好きだ」

その瞳には、涙が浮かんでいるように見えた。

「ハハッ、言えるじゃねぇか。素直な気持ち」
「黙れ」

*****

乱世に咲いた恋情

月光で満ちる安芸で

結ばれた2人の少年

すれ違った2人の答え

戯曲はラストを迎えた

次からはあんたが隣にいるんだよ。


「何を、歌っている?」
「おー、翔君じゃないの」

月光に満ちた安芸、元就の城の上で2人の死神——翔と潤がいた。
潤は歌詞を変えた歌を口ずさんでいた。

「なぁ、翔。俺が歌ってた歌だけど、未来にあったよな?」
「あったね。それは替え歌だろう?

荒野に咲いたアゲハ蝶
揺らぐその景色の向こう、近付く事は出来ないオアシス
冷たい水を下さい、出来たら愛してください
僕の肩で羽を休めておくれ…

じゃなかったか?」

そう、それと潤はうなずき、下を見る。
下では、元千代と元喜が見つめ合っていた。

「乱世ってさ、酷いものだと思ってたけどさ。そうでもないんだね」
「そうだな…。まぁ、それは別として。彼方が返ってきたよ」
「お、良かったじゃん」

潤は純粋な笑顔を浮かべた。
でも、と翔は話を続ける。

「あの噂。本物になるぜ」
「……リエンが、蘇る」

「あぁ、この戦国の乱世に名を轟かせる、豊臣の下にな」


*****

一体どうなる?!
次回予告

次回は、風魔編とアゲハ蝶のNG集。
まぁ、気楽に見ちゃってください。

さらに次回予告!

次回の忍、恋愛涙は(サザ○さん風)

「ハァ?! きぃが家出?!」

我らが主人公、彼方の妹——きせらが家出した?!
皆はきせらを探すが、一体どこへ行ったの?
しかし、皆を見つめる1人の影。

「卿は、不可思議な衣を纏っているな。気に入った」

松永久秀、登場!
次回「金色姫」編 スタート!