BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.65 )
日時: 2010/09/27 19:44
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

金色姫編 第6話【誰か視点】

どこかで風が起き、

どこかで風がやんだ。

そして、どこかで人の悲鳴が起きる。

悲しくもそれは、空を走って消えていった。

「楽しくないや、こんなの」

空は黒。それは漆黒。全てを塗りつぶして、無に帰す


———— ただの、闇だけ。


*****

俺は闇をかけていた。向かうは越後。きせらの所だ。
それはほんの10分前、兄貴が松永に攫われたのだ。つーか、拉致られた。
有り得ない。兄貴が捕まるなんて。
少なくとも、俺よりは強いはずの兄貴が簡単に捕まるなんて思っていなかった。
それほどに松永は強いのだろう。

「きせらっ……!!!」

俺の声は、闇に消える。


*****【風魔視点】

俺は越後に任務で来ていた。
つーか、もう任務は終わって城に戻るところだった。
豊臣の動きを見ていた俺は、任務を終え城に戻るはずだった。

「(あれは……)」

下に広がる雪景色。
辺り一面の銀世界なのに、金の髪をした女が雪の中を立っていた。
立っているだけだった。
何をするでもなく、かと言って俺に攻撃をしてくる訳でもない。

「(猿影、きせら……?)」

猿影きせら、彼方の妹。
そんな奴がどうして…?

「そこにいるのは、誰だ?」

気付かれた。
俺は、その妹の前に姿を現す。
きせら(多分そんな名前の女)は、苦無を構えて俺を睨む。

「何しに来た。アタシに用か? 風魔小太郎!」
「……いや、あの…」

返答に困る。相手は完全に俺の事を警戒している。

「お前、彼方の妹だろう。何故、越後に?」
「彼方兄ちゃんを知っているの?」

知ってるも何も、風魔編で会っているし。
すると、きせらが本当に警戒モードに入った。

「斬滅!」
「……?!!」

苦無が飛んできた。危ないじゃないか。

「何を…!!」

苦無が連続で飛んでくる。それを1つ1つ丁寧に、忍者刀で叩き落とす。
見ればきせらは相当怒っているようだ。

「お前なんか、大嫌いだ!! 海琉兄さんと、似てるから!!」

何かあったのだろうか。その時、


「きせら!」


名を呼ぶ声。銀世界に現れた、赤。
彼方の姿だった。


*****【きせら視点】

何で彼方兄ちゃんがここにいるの? アタシを連れ戻しに来たの?
そんなの嫌だ。たとえ、彼方兄ちゃんでも許さない。
そう思って、アタシは苦無「炎華」を構えた。
だが、彼方兄ちゃんの口から発せられたのは、言葉だった。

「兄貴が連れ攫われた!」
「「!!!!」」

嘘だ、あの鬼より強い海琉兄さんが? 誰に?

「松永、久秀に」
「あの、渋いおっさんに?」

でも、正直アタシはあの海琉兄さんと喧嘩したから越後にやってきたのに。
アタシの手が震える。恐怖じゃない、不安で。
彼方兄ちゃんが、震えるアタシを説得する。

「助けに行こう、な?」
「嫌!! アタシ、あんな奴の為に動きたくない!」

そう言葉を吐きだした瞬間、頬に衝撃が走った。


パチンッ


彼方兄ちゃんが、平手打ちをしてきたの。

「あんなんでも、お前の兄なんだ! 家族の存在を否定するんじゃねぇ!」

珍しく、彼方兄ちゃんがアタシに向かってどなっている。
家族か…、心地が良い響きだな。

「彼方、にいちゃん…」

すると、アタシの横にかすが姐さんが現れた。

「夜中に何をしているんだ、彼方」
「かすがちゃん…」

かすが姐さんは呆れていた。そして、風魔さんを見て驚いた。

「何故あの伝説の忍びがここに…?!! まさか、謙信様を?」
「んな事、任務の中に入ってない」

案外バッサリ言うな、風魔さん。まぁ、それはそれで海琉兄さんと似ているな。
そんな事を思っていた。

「何なに? 彼方が夜中に出かけたと思ったら、かすがに会いに来たの? 浮気ぃ?」

黒い羽が雪に降り、佐助さんが現れる。いつもの迷彩の忍び装束だ。
かすが姐さんが反応する。

「黙れ猿飛! 貴様には関係ないだろう?」
「あはは、酷いな。俺様は、彼方を追いかけてきたのー」

佐助さんは笑いながら言う。
かすが姐さんは、佐助さんを警戒しているようだ。

「きせら、兄貴を助けに行こう? 俺も行く。だから——」
「分かっているよ」

え、と彼方兄ちゃんが驚くのが見えた。


「アタシ、海琉兄さんを助けに行く」


決めた答え。
仲直りしなきゃね、うん。

「何? 海琉さんを助ける? 誰からよ」
「松永」
「「協力しよう」」(By佐助&風魔)

協力してくれるらしい。半ば強制的に、かすが姐さんも入った。
彼方兄ちゃんが、アタシの頭をなでる。

「大丈夫、俺が守るから」
「ありがとう」

いざ、海琉兄さんを助けに、東大寺へ!