BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.66 )
日時: 2010/09/28 16:04
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

金色姫編 第7話 【海琉視点】

薄暗い部屋。
ほのかに灯る、蝋燭の火。それはゆらゆら揺れて、今にも消えそうな儚い炎。
俺の手には、黒光りする手錠が伸びていた。先には太い柱がある。
そう、俺は松永に捕まったのだ。
捕まるのは、俺1人で十分。彼方やきせらまで、巻き込む訳にはいかん。
それに、猿影家の長男がここで力を見せずにどうする。兄弟までも巻き込むのは、いくら何でも御免。

「いつまで黙っているつもりだ」

松永が俺に向かって、話しかける。
誰がお前なんかと話すか。黙っててやる。

「……実に、つまらない男だな」
「つまらなくて結構。伝説の忍びも、こんなに無口なんだろ」

まぁ、そうだなと松永はけらけらと笑い飛ばす。
何だこいつ。精神科へ行け。頼むから。

「卿は、この事実を信じるかい?」
「何の事実だよ。俺が捕まっている事実はもう——」

嫌な予感が、体を駆け抜けた。
そんな俺を見て、松永はまた笑いながら言葉を吐きだした。


「卿の可愛い兄弟が、ここに着いたそうだ」


*****

「おらぁ!!! 松永ぁ! どこ行きやがったこの野郎出てこいやぁぁぁ!!!」

激しくも俺、暴走。もうイライラしまくって、柱をガツガツと蹴りまくる。
大体、あの松永……出てこないじゃないか。何なんだ、一体。
潔く、俺に殺されてくれ。

「彼方兄ちゃん、怖いよぉ…。お化けが出そうだよ…」
「大丈夫。俺がついてるから」

怖がるきせらの頭をポンポンとなでる。
すると、佐助がこう言ってきた。

「彼方は、俺様が守るからね☆」
「ありがと。でも、今は心配いらないよ」

本堂をドンドン奥へ進んでいく。
敵もあんまり出てこないし、何だろう。ものすごく嫌な予感がする。
視界が開けた所には、大きな大仏殿があった。
修学旅行以来の東大寺だし、すごいな。迫力ある。

「やぁ、良く来たな」
「松永ぁ…!! 兄貴を返せ!」

松永が平然とした表情で、大仏殿にいた。すごいムカつく。
俺は苦無を構え、叫んだ。同じように、きせらも苦無を構えている。

「卿達よ、残念だが———— ここで、死んでもらう」

松永の言葉が終わった瞬間、ドカンッと爆発音がしたのだ。
見れば、大仏殿が燃えている。爆薬か何かを仕掛けたのだろう。
幸い、俺らには害はない。しかし、松永は平然と笑い続けていた。

「良いのか、そんなにのんびりしていて」
「? どういう事だ」

かすがちゃんが松永に訊いていた。

「卿の兄、猿影海琉が大仏殿の中にいるぞ」
「「「「「?!!!!」」」」」

嘘だ、兄貴が大仏殿の中にいるのかよ。
助けなきゃと思った時、俺の視界の端を、金色が駆け抜けた。

「きせら! どこに行く!」

きせらが、燃えている大仏殿の中に入って行ったのだ。


*****【海琉視点】

あの野郎、中に爆弾でも仕掛けていたな…?
手が施錠されているから、逃げられないし。忍者刀はどこかに行ったし。
あー、もう。俺は不幸だな…。ここでくたばるのか。

「ゴメンな、彼方にきせら…。兄ちゃんはもうダメだ」

聞こえもしない2人に向かって、最後のメッセージを残す。
静かに目を閉じた。


ガツン、ガツン。


鉄を叩く音がした。
目を開ければ、金色の髪が必死に俺の手錠を外そうとしている。

「海琉兄さん、今助けてあげるからっ……」
「きぃ?!! お前、どうして…!!」

きせらが俺の目の前にいた。
必死に鎖を外そうとしている。健気で可愛い。
って、こんな非常事態にそう思っている暇など無い!

「きせら、もう良いから! もう良いから止めろ!」
「嫌。家族を、ここで見捨てる訳にはいかないの」

きせらは苦無をしまうと、俺から少しだけ離れて印を結んだ。

「紅蓮———— 鬼灯ホオズキ

丸い炎が、手錠を溶かす。そして、俺の手錠は外された。

「行こう、海琉兄さん!」
「ちょ、お前…、前、前ぇ!!!」

きせらの前には、柱が倒れ掛かっていた。


*****

大仏殿が崩れる。そして、残るは燃えかすと瓦礫の山。
松永がへらへらと笑っていた。

「兄貴、きせら…」

自然と、涙があふれてくる。
何だろう、この喪失感。大切なものをなくすと、こんなに悲しくなるんだ。

「兄貴ぃ!!! きせらぁぁ!!!」

「「どいてぇぇぇぇぇ!!!!」」

ドカンッと松永の上に、人が2人落ちてきた。
金色と鳶色。兄貴ときせらだ。

「兄貴…、きせら?」
「危ない危ない、危うく死ぬかと思った」
「危ないじゃないの海琉兄さんこの野郎!」
「女の子がそんな言葉使わないの!」

ぎゃーぎゃーと叫ぶ2人。生きていた。
安堵感が胸を満たして行く。

「いやーいやー、死んでなくて良かった。彼方、きせら、心配かけたな」

兄貴がいつもの笑顔でへらへらと笑っていた。
きせらも同等に笑っている。

「良かったきせらちゃん。無事でね」

佐助がきせらの頭を撫でていた。

「お、きせらの先祖のかすがちゃんじゃん! 俺、生で見たの初めてだわ。俺は猿影海琉。風魔小太郎の子孫です!」

兄貴がかすがちゃんに自己紹介をしていた。
かすがちゃん、何が何だかさっぱりという様子だ。

「えーと、きせらがお世話になったね。ハイ、きせら。お礼を———」
「いや、待て。1つ訊かせろ」

かすがちゃんが兄貴に質問をした。

「全員、先祖を言ってくれ」
「俺は風魔小太郎だけど?」
「俺は、猿飛佐助。彼方ですよー」
「アタシは、かすが姐さんです」

これがどうかしたのかな?

「かすが、俺ら生まれ変わったら兄弟になるんだな」

佐助がけらけらと笑いながら言っていた。
すると、バチンッという鈍い音と佐助の悲鳴が起きた。


*****

次回予告!

次回の忍、恋愛涙は。

「徳川と喧嘩じゃぁぁあ!!」
「え、戦じゃないの?」 

ついに来たよ、徳川との戦い。
相手はあの東照権現、徳川家康(歴史上ではこいつが天下を取るのさ)
+あの全身フルメタルの戦国最強本田忠勝が登場!
さてはて、一体どんな戦いなのか。
そして、この喧嘩には当然、喧嘩大好き前田慶次が寧と一緒に登場。
ついでに、西海の鬼長曾我部元親や、毛利元就。ついには独眼竜伊達政宗まで参戦!
一体どうなるの?!!

で、戦いの仕方は……。

「逃走中?!!!」

あの平成で人気の、賞金をかけたゲームが始まる。

喧嘩上等編 スタート!