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Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.88 )
日時: 2010/10/12 17:51
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

喧嘩上等編 第9話【視点無し】

10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0。
スタート。

夜闇五月、捕獲。
鏡霖潤、捕獲。
雷舞飛鳥、捕獲。
毛利元喜、捕獲。
片倉小十郎、捕獲。
片木小太郎、捕獲。
前田慶次、捕獲。
徳川家康、捕獲。
本多忠勝、捕獲。
毛利元就、捕獲。

「なっ……!!! こんなに捕まったのか?!!」

海琉は携帯画面を見ながら、叫ぶ。手には、汗が握られている。
彼方は、屋根の上から状況を把握する。
133人の忍び型ハンターが、辺りをきょろきょろ見回していた。
このままでは捕まってしまう。どうすれば良いのだろうか。

「くそっ……。油断すると、死ぬぞ」

佐助は舌打ちをするように言った。
今のメンバーは、猿影3兄弟。そして、佐助。
幸音と幸村。元親と元千代。翔と寧。政宗。天空。

「このぉ……。あ!!」

海琉の表情が、強張る。
後ろには、1体のハンターがいた。

「まずい! 逃げろ!」
「あ、兄貴!」
「残り24秒、逃げろ! 佐助、彼方を頼む!」

海琉は術で風を起こし、皆を吹っ飛ばす。
彼方だけが、もろに直撃してかなり吹っ飛んでしまった。

「皆あぁぁぁぁぁ!!!!!」

彼方は印を結び、唱える。

「我、汝の力を解放す。我の手足よ、力よ、悪を喰らい、大きく育てぇぇ!!!」

ズズ……、と彼方の手足に影が纏いつく。
彼方は、方向転換すると皆の方を向いた。その時、

「?!!」

目前には、白刃。
彼方は咄嗟に出した苦無で、攻撃を受け止める。
見れば、そこには戒の姿が。

「君は……ッ!」
「時間外労働は、きついんだよね。さっさと、捕まりなって!」

戒は手に込める力を、強くして彼方を吹っ飛ばした。
彼方は血に叩きつけられ、苦無を手放す。口からは少量の血が流れ出す。
すると、彼方の首元に刀の刃が突き付けられていた。

「くっ……」
「さっさとさ、捕まっちゃいなよ。ね?」

戒の笑顔が、やけに怖く感じた。
彼方は、手刀で刃を折ると、戒を蹴り飛ばした。

「?!!」
「じゃぁな!」

彼方は地を蹴り、空へと飛びあがる。
時計は残り、15秒と差していた。

「何であんまり時間が経ってないんだよ!」
「分かんないよ、そりゃぁ」

後ろにはいつの間にか、ササラがいた。しかも、手には脇差が。

「殺しはしないけど、恨まないでよねー」
「させるかっ!」

彼方は紙一重でよけ、綺麗に宙返りをして屋根に飛び乗る。
手からは、触手のように伸びる影がある。
ササラも屋根に飛び乗り、彼方と向き合う。

「何で死ん——— じゃないや、捕まってくれないの? アタシ、疲れたよ」
「俺もだ」

彼方は印を結び、唱える。

「呪術、影縛り!」
「あ、れ?!」

カクッとササラの膝が落ちる。
ササラも人間だ。高いところから硬い所に降りれば、こんなにはなる。
彼方はそれを見ると、地を蹴り逃げ出す。

「後、10秒……!!」

刹那、ハンターがこっちに来た。
彼方は印を結び、唱えようとした時。


ぴりりりりりりり。


終了を告げる、アラームが鳴った。

「な、に?」
「おめでとう、彼方君」

月女神が、彼方の前に現れる。そして、拍手をした。
彼方は訳が分からず、首を傾げた。

「皆は捕まっちゃいましたが、あなただけ残りました」
「……全員は?」
「ここに」

狭い檻の中に、皆がいた。
月女神は笑う。

「願い事、何でも良いよ。叶えてあげる」
「全員を解放しろ」
「それは当り前」

ちゃんと解放してあげる、と月女神は言う。
彼方は月女神を睨みつけ、問いかけた。

「何で、こんな事を?」
「害はないじゃん。何でそんなにイライラしてるのさ」

月女神の目の前には、苦無があった。
彼方が鋭い目つきで、月女神を睨んでいた。

「怖いね。あぁ、怖いよ。分かったよ。大人しく帰れば良いんでしょ?」

月女神は、消しゴムで檻を消すとノートに何かを書きこんだ。
すると、暗い入口が現れた。

「じゃぁね、猿影彼方君。頑張ってね」
「あ、お前。何で俺の名前……!!」

ん? と月女神は振り返り、綺麗な笑顔を浮かべると答えた。


「作者だし」


*****

「彼方、彼方! 寝てるのか?」
「ん、んー?」

俺は目をこすって起き上る。
そこは、いつもと変わらない上田城の風景。
あれ、おかしいな。合戦は?

「合戦は? 徳川との」
「何を言っている? 彼方、寝ぼけたか?」

あれ、夢?
作者って、あの女の子が?
あはは、何だか笑えてくるね。

「どうした、彼方?」
「旦那、面白い話をしてあげるよ」

どんなだ、と旦那は訊いてくる。


「この話の作者の話」


次回予告

次回は、紅羽ちゃんが主役の話。
ある時、紅羽は白い猫を拾う。その猫の名前を「銀」とつけた。

一方、ついに豊臣が動き出す?!!
皆はどうなる!!!

次回「銀猫編」 スタート!