BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

Re: 戦国BASARAでBL「忍、恋愛涙弐ー猿影彼方は俺の嫁!ー」 ( No.96 )
日時: 2010/11/05 15:31
名前: 月女神 (ID: GlvB0uzl)

銀猫編 第1話【紅羽視点】

城下町で、とある拾い物をした。
捨て猫。白くて、ふわふわした小さな猫。足を怪我していたのだ。

「……お前、銀に似ているね」

私は、その猫に話しかけてしまった。
猫は首を傾げて、私の事を見上げている。仕草がとても可愛らしい。
手を伸ばして猫を掬いあげると、私はその猫に訊いた。

「城に来る?」

にゃぁ、と猫は答えてくれた。


*****

「紅羽ちゃん、何その猫」

佐助さんに気付かれた。しかも、相手は城のオカン。
まずい、どうした事か。

「拾ったの」

正直に答えるしかなかった。
佐助さんは、すんごい呆れたような表情を作る。なんか悪いのかな。

「あのね、拾ったってそんなあっさり言われてもね……」
「飼う」
「いや、だから」

【彼方視点】

「————」
「——」
「…………」

なんか、言いあいしてるな。紅羽ちゃんの部屋で。
声からして、佐助と紅羽ちゃん。微かに獣の匂いがするんだけど。気のせいかな。
すると、隣でくしゃみをするのが聞こえた。
あぁ、兄貴か。太陽でも見たか?

「こ、この屋敷の中に……猫がいるだろっ……」
「はぁ?」

猫? あぁ、そう言えば兄貴は猫アレルギーだっけ?
俺は別に平気だけど。
忍びってさ、良く猫みたいだって言われるんだけどね。忍びが猫アレルギーってどうよ?
耐性とか持たないからな。

「くしゅん、くしゅん!!! あー、鼻水が出る。ちょ、幸音君ー。紙持ってない?」
「ティッシュでござるか? 箱ティッシュを使って下され」

旦那が箱ごとティッシュを渡してたよ。すげぇな、旦那。
兄貴も、大丈夫かな。アレルギー。
ハッ、そう言えば……紅羽ちゃんの部屋から、獣の匂いがしたが……まさか、猫?!!!
俺はすぐさま紅羽ちゃんの部屋の障子を開けた。

「だから、ダメって言ってるでしょうが! 戻してきなさい、うちにはそう言う余裕はありません!」
「嫌だ! 飼うの、佐助さんの分からずや!」

……、何で喧嘩になってんだ?
すると、俺の足に猫が擦り寄ってきた。白くて小さな、赤ちゃん猫。
あ、良く見ると足を怪我してるじゃないか。

「お前、足怪我してんぞ。大丈夫か?」
「にゃー」
「よしよし。えーと、俺の服でよければ……」

腰に巻き付けてあった帯を少しちぎり、猫の足に結び付ける。
これで、バイ菌も入らないだろう。
腹空かせてたりとかしないよな。いや、するかな。牛乳とかなさそうだしな……。
つーか、何時まで佐助と紅羽ちゃんは喧嘩してるんだ? まぁ、良いや。放っておこう。

「きせらー、魚とかってあるかー?」
「んとね、女中さんが今日は焼き魚にするって言ってたよ?」
「やりぃ。それ、1匹もらって来て」

きせらが、魚をもらってきてくれるそうだ。良かった良かった。

「あーっ!!! 銀に何するの!」
「どわっ! ちょ、おい。喧嘩は終わったの?」

紅羽ちゃん、怒ってない?
紫色の瞳をキッて吊りあげて、ものすごい怒っている。
あ、そいつまさか……地雷? 俺、地雷踏んだ?

「ごめ、ん……。何もしてないけど……。そいつ、腹空かせてるんじゃと思って……」
「そう。じゃぁ、私あげてくる」

紅羽ちゃんは、スタスタとどこかに行ってしまった。
何? 母性本能?
つーか、あの猫に銀って……。

あれ、銀って名前——どこかで、聞いたことが……。


「あ、もしかして」


昔飼っていた、猫の名前じゃね?