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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 第二十四話・・・絶対服従ルート、羅針盤、カメレオン。 ( No.101 )
- 日時: 2011/02/18 20:18
- 名前: マッカナポスト (ID: MIiIBvYo)
小走りに駆けて行く拓夢の姿は、少女のように健気で、かつ人を魅了させるような色気を兼ね備えており、下手をすれば女性より美しく見えたに違いない。
心臓の鼓動のリズムが走るリズムと共鳴する。
今の拓夢は何も考えず、ただ走り続けていた。
亜麻色の柔らかな髪が2月とは思えないほどの眩しい日差しに反射して、そんな拓夢が神々しくさえ見えた。
_____もうすぐだ。此処の角を曲がって・・・っ。
その時だった。
見慣れたTシャツを着た“あいつ”の姿が拓夢の眼中に映った。拓夢は本能的に自分の身を隠したものの、完全にその姿を相手に見られてしまった。
弛んで既に横から食み出している腹、そして溢れ出しそうな唾液と本人の不細工さを引き立たせるマストアイテム、ぐるぐる眼鏡。
彼が拓夢の名前を呼ぶ前に、拓夢が先手を取って相手に向かって唸るように云った。
「政孝_________________」
「むむたん、そこまで警戒したような顔しないでぇっ・・・?笑って見せてよぉ〜、ほら」拓夢の脳内で、糸がぷつん、と切れる音がした。
「______二度と来るなと言った筈じゃなかったか」
「え〜?そんな事言ったぁ〜?記憶にな・・・・」その言葉は拓夢によって遮られた。
「調子に乗ってんじゃねぇよ・・・・・・」そう冷たく言い放ってから、拓夢は政孝の胸座を掴んで身震いするような声で呟いた。
「いいか、鼓膜破壊してもいいから良く聞け!二度と来るな、俺の前に姿を表すんじゃねぇ、さもなくばお前の命は無いと思え」
「______分かったから・・・・。放してよ・・・ねぇ?・・・・・あっ!!!むむたんが持ってるそれ、バレンタインチョコぉ??」
その瞬間、あれほどまで美しかった拓夢の顔が見る見るうちに強張り、まさに戦慄と言えるステージが幕を開けるのである。
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