BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

第二十八話・・・だから君のことが嫉ましくて、大っ嫌いで。 ( No.119 )
日時: 2011/03/12 19:28
名前: マッカナポスト (ID: eVM80Zyt)

なんだかんだで騒々しかったあの日から2日が過ぎようとしていた。
あれから結局、衝動的に恐ろしい程の語り口で拓夢とヲタクトークを続けていた源だったが、2時間程で遂に虚の堪忍袋の緒が切れたようで、源はその途端にそそくさと自分の店の方へ退散してしまったのであった。

・・・案の定、未だ拓夢はそのことに関してぶつくさと文句を吐き散らしていた。
「まったくさぁ、虚ちゃんのせいでせっかく築き上げられてきた絆ぶち壊しだからね?」
「だってお前達がこのまま喋り続けてたら永遠に止まんねぇだろうが・・・」
「なに?なに?嫉妬?僕が源様と話し続けてデキてるとでも思ったの?・・・まったく、可愛いなぁ♪」
「あのなぁ_________」顔を大きく歪ませ、怒りをぶちまけようとした所を優大に止められる。
「あのさ、どっちが悪いとか決める前に・・・・大事なこと忘れてない?」
「・・・・・!」虚が顔の表情を一瞬変えたのを、拓夢は見逃さなかった。
「分かった、虚ちゃん、君僕に一つだけ源様に関して隠してる事がある・・・・・よね?」
「源だって言って良い事と隠して欲しいことぐらいあるだろ?」
「・・・まぁそうなんだけどさ、隠さなくて良いことも隠してるよね。一番大事なことなのに何で教えてくれないのかずっと気になってたんだけどさ」もう全てを悟っているのか、拓夢は都会の喧騒を馬鹿にするような目つきで言葉を紡いでゆく。
「________はぁ・・・・・。まったくお前のことだからどうせ最後には聞いてくるとは思ってたが・・・。仕方ない」








既に外は茜色のグラデーションに包まれていた。
虚はその穢れの無い幻想的風景を目を細めて眺める。
その時、出すまいと先程まで必死で堪えていた溜息が漏れた。





















そして1時間後、洋服店前にて。
「えええっ!!!!虚お前そんなに冷たい奴なんだっ!!?ショックだわ俺マジでショックで包帯がくすぐったいよ!!?」よく分からない喩えを高速で紡ぐ源だったが、虚はそれを完全スルー。
一方の拓夢は自分をさもどこぞのヒーローの様に武勇伝(?)を源に語り始める。
優大は「それより早く隠してたこと言ってくれないかな・・・」と天然らしい一言。

その一言に3人が硬直した。

1番最初に口を開いたのは拓夢だった。
「あ・・・の・・・・え?まさかまったく分からないわけじゃ・・・ないよね?」
「え、分からない。」

読者の皆様は分からないと思いますがご安心を。(頭の中が拓夢で出来ている人は分かるかもしれませんが)実はこの時既にこの店はオープンしていたのだが、虚がやっかいな事になる、と言って拓夢に伝えなかったのだ。だから今現在オープンセールの看板が掲げられ、大々的に『昨日オープン!』と張り紙が掲げられているのだ。

「おおっ、天然キャラだねぇ!だから目敏い拓夢ちゃんに好かれるのか・・・。僕も天然になりたかったぐぼふぉっ」途中で虚に蹴りを食らわせられた為、大事なことが言えなかったと文句を呟き始める源。
「あのな優大、実は、この店がオープンしたのは昨日だったんだ。でも俺は、拓夢にそれを伝えなかったんだよ」まるで幼稚園生を諭すような語り口で優大に話しかける虚だったが、当の優大はきょとんとした面持ちで一言。
「何で?」
「なんでそんな事までわざわざ教えなきゃいけないんだよ・・・?」
さすがに3人とも呆れたのか、店の中に急ぎ足で駆け込んでいく。


「え、ちょっと待ってよ・・・・?」
意味不明、と呟く優大。
意味不明はそっちだ、と投げかける虚。






よく分からない無限ループを延々と走り続ける4人、一体どうなるのか、それは作者本人にも予測できないのである。