BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

第九話・・・雫、滴___ ( No.16 )
日時: 2010/11/05 20:51
名前: マッカナポスト (ID: 6i18Tf8q)

アルバイト2日目。
昨日とは裏腹に、叩きつけるほどの大雨。木々はまるで泣いているかのようにうなだれ、通勤時間のサラリーマンはかばんを頭に乗せて、ただひたすらに駆けてゆく____

そんな外の様子を見つめながらふと優大は思う。
(二人とも遅えな・・・もう2時間も経ってるし)
イライラした時、優大にはいつもあの言葉が甦る。

「そういってのんびりしてると、虚ちゃんに俺の事奪われちゃうぞ・・・?」
言われた直後はそんなに気になる訳ではなかったが、
今となってはその言葉ばかりが脳裏を廻る。

____ガチャッ、と扉の開く音がした。即座に反応し振り返ると、ずぶぬれの二人が入ってきた。
「遅えよ」・・・なんて言えなかった。
「うわあ、あったか〜い!・・・すごい雨だね・・」
そう笑顔で振舞っているものの、彼から滴るものは水だけではなかった。紅く点々と滴り落ちる何かがあった。
「・・・おい、どうしたんだよ、その血・・・・」
「ああ、これ?車に轢かれてさあ・・・」
「ひひひ轢かれただとお!!?JAFは呼んだか!?」
「・・・あ、忘れてた。」
「おおおおおおおおおい!!!!損害賠償払ってもらわねえと・・・・」
「いいんだよ、轢いたの、俺の従兄弟だし」
「・・・身内なら仕方ねえか」

____俺、いつも変なこと考えちゃうんだ。この世界全てがお前の敵のような気がするんだぜ。・・・馬鹿だろ?たとえ身内だとしてもさ。あの追っかけみたいなヤツがおまえの周り全てのような、変な現実感。

「俺、お前の事守る・・・から。困ったことあるんならいつでも言えよ?」___ああ、言わなきゃよかった。後悔の塊・・・・。
「何言ってんだよ優ちゃん・・・。今の状況でその言葉は関係ないぞっ?___まったく優ちゃんはタイミングってモノを知らないんだから・・・・でも、その言葉、胸にしまっておく。ありがと。」
「あ、でも優大。俺と拓夢の怪我の応急処置やっとけよ」
「虚、お前こそタイミングを知らないヤツだなww」


工房に笑い声が響く。
「ほれ、じゃっ虚!傷見せてみろ」
「ん。」無言で服を脱ぐ虚にちょっと期待感を抱いたのは俺だけだろうか。
「ここ。」そういって、上腹部を指差す。
拓夢が脚を轢かれた時に、うっかり転んで腹を切ってしまったらしい。

理想とも言うべきか、美しいくびれに思わず優大はドキドキしてしまった。
「どうしたんだよ、・・・早くしろ」
・・・・そんな声にまでドキドキするなんて、確実に罪だ。何乙女になってんだ、俺。
「染みるかもしれないけど我慢しろよ」
「・・・フッ、そんなこと俺が分からないとでも思ったか?___優大、お前おもしろいな」





_____心臓爆発しました。   By,優大
浮気とかじゃないけど・・・この複雑な感情を、誰か理解してくれる人はいませんか・・・・・・?