BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 第三十八話・・・大丈夫じゃない、問題だ。【後編2】 ( No.215 )
- 日時: 2011/07/11 21:20
- 名前: マッカナポスト ◆dDspYdvRLU (ID: pR7JxfSl)
- プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=1SAEbeaSNeU
あくまでも注意書きだが。
過去の幻想に浸るというのは、(精神的な理由や哲学的な理由とはまた違うのだが)必ずしも得になる事が無いとは限らない___逆に言えば良い事ばかりとも限らない。
回りくどい言い方になってしまう様で申し訳ないのだが、それ位しか上手い言い方が見つからない。
何故なら、虚の様な目に遭いたくない人と遭いたい人と千差万別十人十色だからだ。
その意味は、話の内容で理解してもらう事としよう。
【終章:過多で夥多な騙りの語り】
虚が過去の幻想に浸っているうちに、某大型ショッピングモールに到着するどころか、映画館前に到着していた。
「……全く、お前のツッコミやら反応やらがやたらテキトーになってきたと思ったらっ!現実逃避なんかしてたのか!!プリキ○アに失礼だと思わねぇのか馬鹿野郎っっ!!」相当怒り心頭に達していたのか、容赦なくキレのある足刀を叩き込んでくる。
その度に現実逃避(?)していた時の足の疲労がぶり返し、足が人形の脚の如く軋んだ様な感覚に襲われる。
「決してプリキ○アが観たくない訳じゃないぞ!現実逃避じゃないと言えば嘘になるが、断じてプリキ○アが嫌いなわけではないぞ、プリキ○アが、プリキ○アがな!!」
____あれ?自分でツッコむのもどうかと思うが中盤の台詞のせいで全くフォローになっていない気が……?しかも俺何回プリキ○ア言ってるんだよ、逆に恥を擦り付けてるみたいじゃないか……!
馬鹿な人間になったものだよ、まったく。
ふと心の中で自嘲気味に呟いていると、源が誇大表現を交えながら雄弁(?)にまくし立てる。
「虚お前……今の台詞は中盤必要ないだろ!!?お前は何だ、プリキ○アをソフトな言葉で皮肉って侮辱しようと思っているのか!?紳士(と書いて幼女愛好者と読む)を侮辱していると言う事はイギリス国家を全否定している事と同じだぞ!?ラグビーやらアメフトやらを全否定している事と同じだぞ!!?人間の恥だ、お前みたいな人間を生かしておく日本人が_______」
「もう分かったから分かったから!!幾らなんでも映画館の前で大声でプリキ○アについて語るのはやめようぜ、な!?」
もうこんな屈辱耐えられない、と言わんばかりに顔を赤らめて必死で目で訴えかける虚。
知らぬ間に老若男女に白い目で見られていた、子供は好奇心に満ちた目で見つめていたが。
今までに無いほど謝罪して何とかその場を乗り越えた二人だったが。
刹那。
そんな中、虚の背中に何かが抱きつくような感触があった。目の前にいる源は思わず瞳を輝かせてその『もの』を見つめている。
恐らく幼女だろう、背中の感触と源の反応を見ると。
「何か五月蝿いと思ったら……虚お兄ちゃんだったんだねっ」
そう言った幼女は、にこっと微笑むとその兎の様な身体を虚の身体に預けてくる。
「ひさぎ………!」
虚が顔を綻ばせると、恐らく源は彼女を知らないのであろう、やみくもにポケットの中に手を突っ込んだ。
「この子……誰?」ポケットに突っ込んだままの手を、もどかしげに動かしながら源は問うた。
ああ、お前は知らなかったな、と一言呟くと、微笑しながら源の頭にそっと手を置く。
「大丈夫だ、俺はお前と違って幼女愛好者じゃないからな」そう言いながら虚は“ひさぎ”と呼ばれた少女に目を遣ると、少女は難しそうな顔をして目を逸らした。
「こいつは、俺の姪っ子の“藤堂ひさぎ”だ」源は安心しきった顔をして、ひさぎに話しかける。
「はじめまして、ひさぎちゃん、僕は虚の……何だろうな、まぁ同級生の、城ノ内源。よろしくね!」そう言った途端、ひさぎは驚いた顔をして兎の様な瞳を大きく見開かせる。
「あ、え?虚お兄ちゃんと源……さん?___って恋人同士じゃないんですか?」
「「は?」」お互い顔を見つめあい、また顔を背ける。
「いや、え、何で?僕、男だよ?」源は顔を歪ませ、完全に動揺しながらも紳士的な笑顔をやっとの思いで保ちながら一言。
「えっ、男の何が悪いんですか……?」
それだから今の現代っ子は____何て、自分も現代っ子の癖に呟きたくなってしまう位、
動物愛護、弱者保護なんて叫ばれている現代社会が何だか阿呆らしくなってきてしまう位、
同性愛者が認められる社会を願ったのにも拘らず、いざ認められると何故か恥ずかしい位、
ひさぎも、
そして僕らも、
生意気で、馬鹿な人間だった。