BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

《第三十九話 エピローグ》 ( No.220 )
日時: 2011/07/17 20:32
名前: マッカナポスト ◆dDspYdvRLU (ID: ZpTcs73J)
プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=L4NuIOgLnow

工房のはす向かいに位置する洋服店の前で源と別れを告げ____


「「ただいま」」下町情緒溢れるこの町に、マイホームに、虚は戻ってきた。
「「おかえり」」拓夢と優大の温かい声が上から降りかかってくる。心なしか優大の瞳が赤く腫れていた気がした。
「虚ちゃん何処行って来たの?」

「映画館だよ_____」源のロリコン話や失敗談を雄弁に語っていった虚だったが、帰り道の話は話さない事にしたのか、ぷつり、と話が途切れた。



「思ったんだけど」拓夢が虚の顔を覗き込みながら話に割り込んできた。



「虚ちゃんって源に似てるなぁ、って思った」今日何かあったの?と全てを悟ったようにほくそ笑む。
逆に今日の事を全て悟られたら拓夢がサイコメトラーになってしまうので___帰りの話がばれない事を願うしかないピュアな虚であった。





【次の日】
開眼(?)一番、虚の傍で、何故か拓夢のテンションがMAXだった。
「何?昨日源サマとキスしたんだって!?おめでとーーーー!!ひぃーーやっふぅー!!そんな事言わないなんて虚ちゃんピュアだねぇ?純真だねぇ?きゃー可愛いっ!!」早口にまくし立てる拓夢の顔は笑顔で一杯で、何処か悲しそうだった。




でもそれよりも。




「あんの野郎っ__________!!」ゆらりと怒りの炎を全身に煌かせ、派手な音を立ててドアを閉め、はす向かいの例の人物に会いに行ったのであった。
「?」未だ状況が理解できぬ優大は般若のような面持ちで出て行った虚の姿を見て、頭に疑問符が浮かぶばかりだった。





【『@‐home』店内にて】
『某人気ファッション雑誌掲載!』と意味も無く雑誌名のプライバシーを配慮したポスターを無視し、疎らに点在する買い物客を掻き分けて例の人物を探していると、後ろからマイナスイオンで満ち溢れたような声が降りかかってきた。
「ああ、虚、源が手紙渡してって______」
「ありがとう禅、源の奴何処か出かけたのか?」
「この手紙読めば分かるって言ってた」大切な用事でもあるのかと思った虚は、話を早々に切り上げることが先決だと悟った。
「感謝する、じゃあ、また」足早に店を出てゆく虚を見て、禅はふと皮肉交じりで呟く。


「買い物以外の理由での来店はお引取り願いますから……」


【『@‐home』前にて】
虚が恐る恐る文を開くと、やたら大きく雑な文字でこう書かれていた。
『虚へ
昨日の話ばらしちゃったZE☆
怒る姿が目に見えてるんだけどさ……。俺はこれを言う事によって踏ん切りをつけたかったと言うか……。まぁ、そんな所。

最後に。プリキュアもう一回観てくる。だって満足できなかったんだもん♪
お前ばっかり目に入って映画観てる暇無かったからさ。
とりま、之からも末永くお願いします。            

源より

P.S.昨日は俺の我侭に付き合ってくれてありがとな。
まぁ、お前の事なんて、大嫌いだけど?             』






「洒落た真似してやがって______」
連日続く晴天の中、虚は静かに、静かに笑った。