BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 第四十話・・・金木犀咲く頃【番外編】 ( No.231 )
- 日時: 2011/07/25 19:01
- 名前: マッカナポスト ◆dDspYdvRLU (ID: YiQB1cB2)
- プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=k9Dz-AmWefo&feature=related
暑苦しい青春を生き、行き、
暑苦しい制服を着て、来て、
そうやって僕らはあの頃【俗称:青春】を過ごしてきた。
Don't walk in front of me, I may not follow. Don't walk behind me, I may not lead. Walk beside me and be my friend.
Albert Camus
【八年前】
まだ夜が明けたばかりの秋の空。灰色の曇天が紅色の空を覆い隠し、神秘的な情景を生み出している。
金木犀の香りに誘われ、業と憂鬱そうに頭を掻き毟り、校門を潜る。
その背中は滲み出る嬉しさを隠せていないようで。
優大は気分の沈む拓夢を無理矢理引きずり回しながら、派手な装飾に飾られた校舎に足を踏み入れた。
興奮からかもどかしそうに靴を脱ぎ、上履きに履き替え、大急ぎで校舎内を駆け抜ける。
その際に『廊下は走るな』と書かれたポスターが優大が生み出した風により落ちた事など知る由も無く。
今日は、成城中学校第43回文化祭である。
中一である優大と拓夢にとっての、初めての文化祭。
高校のような文化祭は期待するな、と先輩達に言われていたものの、想像以上に規模の大きな文化祭であったことに驚いた。
優大は隠しきれない笑顔で顔を綻ばせ、拓夢はやつれた表情で深い溜息を吐き___『対照的』と言う言葉を象徴するかのように___、一言の言葉を紡ぐ。
「じゃあ、俺、化粧しに行かなきゃいけないから」
「お前のとこ、結構手が込んでるんだな」
何か思い出したように、優大はわざとらしく手を打って続ける。
「あれ?お前の所ってメイド喫茶だったっけ?」
突如、拓夢の顔が歪み、悲愴感漂う表情(=涙目)と化す最悪の結果となってしまった。
「…………優ちゃんの意地悪っ」
「いやいやいやゴメンゴメンゴメン!!!!悪気は無かったんだって」
「いやまぁ、いいんだけどさ、俺が休みのうちに勝手に俺の担当がメイド喫茶になってた(しかも男子からの支持が大半な件)のも一切気にしてませんから」そう言いながら優大を鋭い眼光で睨み付ける拓夢。
「………花屋よりは退屈じゃないから良いじゃん?」
「あ、優ちゃんって花屋だったんだ!?」
「______今の一言すげぇ傷ついた……!」
そんなありがちな会話を繰り返しながら、
言葉と友情をを紡ぎ、二手に別れる事となった。
その後の悪夢のような一日を知っているのは廊下に落ちた『廊下は走るな』のポスターだけで。
【杞憂】