BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

第十一話・・・そして歯車は狂いはじめる ( No.24 )
日時: 2011/07/30 15:01
名前: マッカナポスト (ID: 2awtZA.D)

あの日から、工房は閑散としていた。尋常じゃないくらい。一人工房に座って考え続けている優大。
こんなに虚しい光景があるだろうか。
「……優ちゃんの………馬鹿」






お前が悪いんだろ……?好きになったのが。俺の何が悪い?______好きに“させた”のが?
だってあいつが恋に慣れてない訳無いだろ。
第一、性別って何だし。悪いか。同性愛が。

______愛し合うことの、何が悪い。


葛藤が残虐な物へと、むしろ単純なものへと変わる。
心の中でガラスが割れた音がした。


____2日振りの着信音。拓夢からだった。
何処ぞの昼ドラマのように恐ろしいほどのタイミングに動揺しながらも、心臓の鼓動を抑えながら、恐る恐る通話ボタンを押す。
『……俺だけど』
「拓夢______」
『ごめん……ね』
「……………!!」本当は自分が云わねばならなかった事への罪悪感が、重く優大にのしかかる。

頬に流れる筋。無言が続く。

「俺は、お前を“男”として見てるから。女として見てたら、俺、お前なんて…………」
「_______分かってる。分かってるから」
「でもお前と仲良くはなれない。俺、『愛しちゃった』……んだ」
「俺は虚にも同じ事言われたんだ。実は。……でもね、俺は馬鹿でドジで天然で凡人な、管野優大が好き。大好き。明日、来てやるから。泣くなって、な?」


「……ありがとう」



「ちなみに、俺の隣に虚、いるんだなあ〜!」
「この、幸せ者が……!俺までお前のこと好きになっちゃったじゃないか」あくまでも淡々と言葉を紡ぐ虚だった。
___案外単純な奴なのだろうか……?初対面4日前だというのに馴れ馴れしいし。
優大の葛藤はまだ続きそうだった。
「おお、言うなあ虚ちゃんっ!よっ!男前!」
「…………っ////////」





恥ずかしすぎて電話切っちゃった………!
どうしよう、俺乙女みたいじゃないか。
『この幸せ者が。』……か。
いい響きだ。


優大の心は、今までに無く晴れ晴れとしていた。
優大は柔和な笑みを浮かべ、美しいグラデーションを見せる暮れゆく空を見つめていた。
本当に昼ドラの如く。
ちなみに明日の天気は■■。