BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 第四十六話(1)・・・ノスタルジアの純潔∞ ( No.282 )
- 日時: 2011/08/27 16:08
- 名前: マッカナポスト ◆dDspYdvRLU (ID: Thm8JZxN)
- プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=G-PXC9AXyao&feature=related
戸惑 その一つの結論
=イデアな少女が
ボクを定義するならば
それを大切にしようと
決意していたのに
【 ∞ 】
殺気と言う殺気を感じさせない、その胡散臭い笑みからは、何も零れない。
そのナイフの切っ先から漏れ出す、
∞のそれは___
絶対でもあり、謙遜でもあり、怠惰でもあり、憎悪でもあり。
拓夢の全ての愛なのかもしれない。
殺気が無いと判っていても、思わず背筋が凍る。
「……っ解ったから、聞かないでおくよ」
情け、と言ったら拓夢が怒るだろうか。
「馬鹿に親切な奴になったね、風邪でもひいたの?」さも当たり前のように懐にナイフをしまい、屈託の無い笑顔を真織に向ける。
「でも真織がこのまま問い詰めていても僕は答えなかったかな」
普段の温かな雰囲気が、感覚が一瞬にして取り戻される。
結界が、決壊したような感覚に陥る。
「少しは俺を信用したらどうなんだよぉ……」
「信用なんて言葉を僕に使うなんて愚かったらありゃしない!僕がどんな困難を掻い潜って来たか……だからお前にメイドはあんまりやらせたくないんだよ」
「どういう意味だよ?」
「馬〜鹿っ、お前みたいな童貞には知ったこっちゃ無、い、の!」
「童貞は無駄だろ!!」
「そうかな?童貞って人生の屈辱じゃん」
こんな時の拓夢の笑みは、決まって天使の様に朗らか=ドSな訳で。
「お……っ前……完全に俺を侮辱しようとしてるよな!そういう風にナチュラルな侮辱はリアルに傷つくぞ!」
「五月蝿い奴は嫌いだよ」この切り返し方はご存知ツッコミの天才(?)虚から学んだものらしい。
「お前のせいだろ……うぇ……ライブ前なのに喉痛い……」
「あ、ライブ会場って此処?」
目の前に小ぢんまりとしたバーの様なライブスタジオが一軒、寂しげに聳えていた。
「此処、僕も使った事あるよ、えっとね、確か……トイレが古くて汚い」
「それしか無いの!?」
「あと差し入れが美味い」
「それはスタッフとファンが良心的なだけだろ!!?」
そんな戯言を身振り手振り話しているうちに、楽屋代わりの古びた更衣室に着いていた。
陰湿な空気の部屋の中に案内され、空虚に包まれる中、突如扉が開いた。
可愛らしくフェミニンな顔立ちには似合わぬ、高く結ばれたポニーテールとパンツスーツ。
何も言わず、少しばかり含み笑いを浮かべながら名刺を淡々と配る女。
真織のマネージャーで、名を『縣芽 姫威』と言う。
「随分遅かったわね、で?この坊やがゲストな訳?メイドだって言ってたけどド素人だと困るわね」
初対面早々笑みを浮かべながら冷酷に言葉を放つ女に拓夢は少しばかり憤慨の念を覚えた。
「ド素人とかよく表面上だけで言えますよね、まぁ素人と思いたければ思っていらっしゃれば良いですけど?」
最高級の笑み。
「ちょ……拓夢……言い過ぎだろ!!」
刹那、部屋中に高笑いが木霊し、『共鳴』する。
「はははっ!!こんな所で出会うとはね!てっきりメイド辞めたのかと思ってたのに……。絶頂期で突然辞めたもんだから私心配してたんだからね!ありがとね、真織」
「え、は?えっ?どういう事?」
「僕のね、最初で最後のマネージャーだよ」
「ええ、今はフリーライターも兼ねてアマチュアの方のディレクターをしているわ」
「アマチュアの方に……僕が最後のプロですか」
「あんただって真織と変わらず十分アマじゃない」
「アキバで少なからず社会現象は起こした気がするんですが」
「自信過剰な奴ね、そんな小規模な現象なんて社会現象とは呼べないわよ」ほら、それより、と言葉を続ける姫威。
「拓夢はぶっつけ本番な訳だし早く準備しなさいよ」
「「へいへい」」
そんな二人の同調が、余りにも微笑ましかった。
認められること=0からの願い
それは『都合のいい妄想』と知った
空想を満たす記号を採られ
合わない主張は捨てられる
そうなるくらいならば
排斥されてでも
たった一つだけの存在
誤差を含む不完全なVoc.(ボク)謳おう
自分だけの高速展開抱きしめて______
【 ∞、但し不完全 】