BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)

第想話・・・     for you      ( No.331 )
日時: 2011/11/06 18:54
名前: マッカナポスト ◆dDspYdvRLU (ID: P0kgWRHd)
プロフ: http://www.youtube.com/watch?v=gypuWo_iQMg&feature=related

四月七日  天気:晴れ



未来の俺へ。
今どうしてますか。



僕はこうして日記を書いています。
蟲けらも、
動物も、
みんな目覚め始めた春真っ盛りの今日。
今日は入学式の前日です。
隣の、日下部さんの娘は小学校の入学式らしくて、真新しい真っ赤なランドセルを近所の人に見せびらかしてます。
ちょっとだけウザい(笑)。


そういえば今年の夏休みは、ひさぎも来るって言ってたな。
春休みの間は夜泣きが酷かったって犀霞叔父さんが愚痴ってたし、ゴールデンウィークは来ないと思う。

どっちにしろ来れないよ。

俺は明日の入学式行けないから。
入学式どころか、授業受けられないと思うから。


何でかって?


今日は母さんがいないから、独りなんだ。
入学式の準備とかしなきゃいけないのにさ。
まったく大事なときに限って母さんいないんだから。
体育着とか何処に仕舞ってあるんだろうね?
どうせ用心深い母さんのことだから、二階の物置部屋とかに仕舞ってあるんだろうな__埃っぽくて入りたくも無いけどさ。




こんなに愚痴ってるのにさ。




母さん何で今日はいないんだろう。
どうして、明日もいないんだろう。
明後日も明々後日もいないんだろう。
その次の日も、そのまた次の日も。
その次の月も、その次の年も。


未来永劫。


どうして、母さんがいないんだろう。










あ、ごめんごめん、嘘嘘。
本当はいるんだよ?母さん。

嘘ついてごめんな、本当は俺の隣にいるから。










俺の隣で、心地良さそうに寝てるから。
え、マジで?俺マザコン?
いやいや、勘違いすんなよ、マザコンなんかじゃないからな。










俺の隣に椅子があって。

その上で気持ち良さそうに、
ぶら下がってるだけだから。

ぶら下がってるっていうか吊られてる?
よく判んないけどさ。










母さんさ、にっこり笑ったままぴくりとも動かないんだぜ?










どんだけいい夢見てるんだろうな。

そんな宙に浮いたままじゃ良い夢なんて見れないだろうに。

あ、でも母さん寝付きいいから関係ないか。










言い忘れてた。

机に母さんの手書きの手紙も置いてあるんだよ。
母さんに手紙もらったこと無かったから、ちょっとどきどきした。

……実は入学祝とかで、お金でも入ってるのかな、何て思っちゃったりして?

開けて見たら入ってなかったからそれは少しがっかりだったかな(笑)。





中身はね、入学祝なんかじゃなかったよ。
冷たい女だよねぇ(苦笑)。

これね、この前夜逃げした弱虫父さんがよく言ってたんだ。
あ、だったら俺って母子家庭になったんだ!何か嬉しいな。





閑話休題はここまでにして。

中身は、こんな感じだったよ。丸写しするね、コピー機無いから。










虚へ

母さんはもう疲れちゃいました。

だからもうしばらく、休ませて欲しいな。
入学式の前日なのに、迷惑かけてごめんね。

もう一番は要らないから、自分を信じて、のんびり生きていいのよ。

犀霞おじさんには言ってあるから、これからは叔父さんの家に行って。
叔父さん多分来週には来れるから、来週までは家の中にある食べ物食べててね。
だから成城中にはほとんどいられないと思う。

本当に迷惑かけてばっかりだね。

私は弱いから、こんな事になっちゃったから。

虚は私の代わりに、
強く、生きてね。


ごめんね。










……だってさ。
ありがとうも言えないんだぜ、素直じゃないよね。


俺がありがとうって言うべきなの?


まだわかんないよ、今日まで小学生だもん。
もうちょっと、
あと一日くらい甘えさせてほしいです。
……つかさ。





何でだよ。
何なんだよ。
何でいないんだよ。
何で謝ってんだよ。
何で動かないんだよ。
何で首吊ってんだよ。
何死んでんだよ。





もう判んないよ。





……と言う夢でした、めでたしめでたし。
本当に悪夢だったよ、全く、冷や汗出たもん。


___って展開になる筈じゃないのかよ。

母さんの、大馬鹿。





でも。






そんな馬鹿母さんと、
もっと一緒に居たかった。
笑って居たかった。










大好きだったよ。










ありがとう。










未来の俺へ。










強く生きてますか。