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BL・GL小説 (オリジナルで全年齢対象のみ)
- 第十六話・・・『無題』 ( No.48 )
- 日時: 2010/12/22 15:45
- 名前: マッカナポスト (ID: ucgdxD9J)
その次の日、優大は何事も無かったかのようなふりをして帰っていった。
「_____朝・・・・か」淡く光る黒い髪を整えて、虚は身を起こした。
昨日の騒動(虚本人は知らないのだが)が嘘のように、空は晴れ渡っていた。
ただ、天然の虚にも、優大を拓夢の家に泊まらせる行為は許し難いものであった。好きな人に対する執着心とはこういうものなのかと、虚は自分の身をもって初めて知った。
____二股なんて。俺はいったい今まで何をして生きていたのだ?二股。・・・なのに今、俺は独り。
悩んで、悩んで、悩み続けても、太陽は何も教えてくれない。それどころか話す相手もいない。
独りで葛藤を続けていたって何も始まらない。
______そんなことは知っている。
けど、言葉で表現できないこの”苛々”は何だ?
俺が馬鹿だから表現できないのか・・・?俺は拓夢の中の『ともだち』で良いのか。満足できるのか?
優大をムカつくと思った事は何回もある。のに。『ともだち』じゃなくても、ただのライバルで良かったのに。
__________どうして悩んでるんだ。どうして、どうして、どうして・・・・・・・・・・・・。
どうして、愛してしまったのだろう。
_______気づかないうちに、虚は泣いていた。
一枚の壁越しに愛する人が居るというのに。
「______俺______________」
虚は涙で濡れた頬を拭いながら、朝焼けに仄かに光る写真を見つめた。
「拓夢________________」
そして静かに溜め息をついた。
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