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「……ねぇ、りま？」

「何？」


「え、と…。たまには、あたしもりまにギュッって「嫌」」

「……。」
「……。」
　え、ショック受けた。今…何か心臓にナイフが刺さったよ、死んでないから多分平気だけど。


「……良いじゃん、べつに。」


　頬をふくらませてチェッと呟いてみる。

　それでも、りまは熊のぬいぐるみを手放そうとはしない。


　いや、確かにプレゼントしたよ？
　「大事にしてね」って言ったよ？
　ふざけて「一生手放すな」的なことも言っちゃったよ…………、あ、それが悪かったのかな？

　りまの背丈くらいある大きな熊の人形。授業中もずっと抱いてて、二階堂先生が注意したら放送禁止用語みたいな言葉をベラベラ使って人形を守り抜いて…、ふっ……人形が羨ましいわな。

　もちろん、今あたしと話してるときだって。


「…………。」



　「熊じゃなくて、あたしを抱き付けば良いのに。」何て、口が裂けても言えな…口が裂けたら言えないのは当たり前だけどね。


「熊…ズルイ。」


　りまってそんなお子ちゃまじゃないもん！
　この熊がりまをタイムマシーンに乗せてしまったんだ。

　もう頭が壊れてる。

　でも、何かこの熊とりまのツーショットを見ているとムカムカする。そりゃ、美少女とくまのぬいぐるみ……絵になるとは思うけどさ。


「ねぇ、りま。」


「うるさいわね。」
「うるさくないもん！　ウザイだけ。」

「は？　ウザイ？」

　あ、しまった。

「あむ？　あんたまさか……。」
「いや、べつに何もないですよ？」
「敬語？」
「いや、べつに何もないし。」

「……くまに嫉妬…醜いね。」


　あれ？　おかしいな、前が霞んで見えないや。

　ふ、嫉妬して悪いか！

「熊吾郎…人間は醜いよ。」

　熊吾郎っていうの？　そのぬいぐるみ。
　あー、何か……とてつもない敗北感が背中に乗っかってきて、ヒリヒリと痛いわ。

「てか、何であたしじゃ嫌なのさ？」

「…………。」


　理由なしなんだ？　くそ〜、ぬいぐるみに負けた…。


「あむは、浮気したから。」

　してねーよ。

「誰と？」

「いろんな男…あ、女もだ。」

　ってちょっと待てェェェ！？
　いつ、どこで、だれが、なにを、どうした？
　一年生の国語だ、確か。

「いつも、いろんなとこで、あむが、いろんなやつと、うわきした。」


　……心を完全に読まれてる。

　というか、それ答えになっていない。


「浮気なんて、あたしがするわけ…「本当に？」……本当に。」


　そりゃ、誰かと絡んだりはしてるけど。
　りまみたいにこんなベタベタくっついてないし。

　
「わたしも、浮気されたときそんな気持ちだったもん。」

　だからしてねーってば。

「ごめんなさい、だから許して。
抱きついてくださ「嫌。」」


「……。」
「……。」


　何でェェェェ！！！？

「あむの腕の中、ドキドキしすぎるから嫌。」


　……何て答えたら良いかわからないよ？


「じゃ、ドキドキしなきゃいいじゃん。」

「無理。」


「…………そりゃないでしょ。」

　あー、もう本当に泣きそう。まあ、ドキドキしすぎるっていうのは嬉しいよ？　でもさ。

　さすがにキツイ。

「じゃ、もしあたしが熊になったら抱きついてくれる？」

「ドキドキしなければ大丈夫。」

　意外に真面目な答えだ。
　失礼かもしれないけど、こちらも真面目に驚いた。

「…わかった、あとこのぬいぐるみは募集で。」


　————その後。あむがミキ、スゥに熊の着ぐるみを作ってくれと頼んだのは、言うまでもない。






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　捧げものはとって置かないと後で困る((。
　以下コピペ←。

　意味わかんないですね、すいません。
　無理やり感があるのは気にしないでください。
　分かる人は分かる、どっかの漫画のマダオのネタがどこかにある←。